TCFD提言への対応

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脱炭素社会に向けてデジタルの力で新たな事業機会を創出し、
企業活動を通じて地球環境や社会に貢献

デジタルホールディングスグループ(以降、当グループ)は、「新しい価値創造を通じて、産業変革を起こし、社会課題を解決する。」をパーパスに掲げ、様々なステークホルダーとの共創を通じた産業変革プラットフォームになることで、イノベーションを起こし、サステナブルな社会の実現と当グループの持続的な発展を目指しております。
このような中、当グループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明しました。
今後、TCFD提言で推奨される4つの開示要素である「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に沿って、気候変動に関連する情報の積極的な開示を行いイニシアティブ等にも積極的に参加することに努めるとともに、脱炭素社会に向けてデジタルシフト領域で新たな事業機会を創出し、企業活動を通じて地球環境や社会に貢献してまいります。

*TCFD: G20の要請を受け2015年に金融安定理事会(FSB)により設立された、
「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」

INDEXインデックス

  1. ガバナンス
  2. 戦略
  3. リスク管理
  4. 指標と目標
  5.  
  6.  
  7.  
  8.  
  9.  
  10.  
  11.  

ガバナンス Governance

当グループでは、気候変動リスク・機会への対応は重要課題のひとつとして認識しております。そのため、代表取締役社長グループCEOを委員長、グループCFOを統括責任者とするグループ横断メンバーで構成されたサステナビリティ委員会を2021年5月に組成し、企業活動を通じて地球環境や社会にポジティブなインパクトを与えることを目指し、サステナブルな活動を推進しております。
取締役会は、サステナビリティ委員会で議論した内容について、原則四半期に1度報告を受け、気候変動リスク・機会を管理、監督しています。また年に1度以上、気候変動に関する議題を設け、取締役会で議論を行うことに努めております。

環境マネジメント体制図

会議体 最高責任者 役割 役割(詳細)
①取締役会 代表取締役社長 意思決定機関
業務執行の監督 等
業務執行で論議・承認されたESG/SDGS課題に関する取り組み施策の進捗を監督
気候変動関連課題を含むESG/SDGs課題に関する事項を四半期に1回は予定議題とする
②グループリスク
 管理委員会
代表取締役社長 実行機関(審議・決定)
諮問機関
執行機関や取締役会への
提言・報告 等
災害リスクや気候変動関連課題を含む環境に関する包括的なリスクを抽出し、評価対策を検討
特に気候変動関連に関わる課題はサステナビリティ委員会と連携し評価と対策を検討
③サステナ
 ビリティ委員会
代表取締役社長 実行機関(審議・議論等)
執行機関や取締役会への
提言・報告 等
気候変動リスクなどの評価と対策に責任を有する委員会ESG/SDGs課題に関しては活動方針の策定や各種取組の目標設定、KPI等の進捗状況を確認四半期に1度、取締役会に報告
④さすてな分科会 グループCFO
(統括責任者)
実行機関 サステナビリティ委員会で決定した事項を各事業部門と連携して対応
また、ESG/SDGs課題に対して情報収集し、課題対応策等についてサステナビリティ委員会に提言・報告
⑤各事業・部門 各事業長
各部門長
実行機関 事業目標に対する実行部門(さすてな分科会と連携)

戦略 Strategy

気候変動に関するシナリオの策定

当グループはTCFD提言に基づき、広告事業とデジタルシフト事業を対象とした気候変動リスク・機会による事業インパクトの把握を目的にシナリオ分析を行いました。シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)等のデータに基づき1.5°Cシナリオと4°Cシナリオ、それぞれの気温上昇時の世界観を定義し、将来にかけて事業に影響を及ぼす可能性がある気候関連のリスクと機会の重要性を評価しました。

シナリオ群の定義

1.5℃シナリオ

気候変動に関する積極的な国内政策・法規制が進み、「脱炭素」「サーキュラーエコノミー」といったトレンドが進むことが予想される。具体的には、カーボンプライシングやサステナブルファイナンスが推進されると考えられる。その結果、温室効果ガス削減や再生可能エネルギーの導入等が必要となる。
一方で、企業のDX支援や産業のIXニーズが高まるとともに、新たなビジネス機会が生まれることで、当グループの事業拡大に繋がると想定する。また、気候変動領域においてデジタルシフト事業の新たな事業創出も考えられる。

4℃シナリオ

気候変動に関する国内政策・法規制が進まず、異常気象や自然災害が増加することが予測される。当グループは、温室効果ガスの排出量が少なく地球に負荷が少ないビジネスモデルであり、また大規模な生産拠点や複雑なサプライチェーンを持たないため、気候変動リスクの影響は限定的であると想定されるものの、気候変動に対応できなければ事業機会損失に繋がる可能性がある。
一方で、自然災害等の対応におけるDX支援やBCPニーズにおけるITソリューション需要の高まりなどの新たなビジネス創出機会も考えられる。

DX:Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)
IX:Industrial Transformation (産業変革)

外部参照シナリオ

IEA The Net-Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)
炭素価格等の設定に活用
IEA World Energy Outlook 2018
電力価格等の設定に活用

気候変動のリスク及び機会の当社事業への影響度評価

短期、中期的及び長期的な気候変動に関連する移行・物理リスクを適切に把握し、広告事業とデジタルシフト事業の影響度を評価しました。気候変動がもたらす異常気象等の影響に加え、政府による政策規制の導入などについて検討を行い、その結果特定したリスク・機会を、当グループの経営・事業戦略に反映し、対応していきます。

対象範囲:デジタルホールディングスグループ
(広告事業、デジタルシフト事業)

リスク一覧

リスク 区分 事業インパクト 影響 対応策
1.5℃ 4℃
移行
リスク
政策・
法規制
炭素税 炭素税導入により、運用コスト(施設電気使用料、配送時排出GHG対応費)が増加する 炭素税導入による財務影響は軽微であるものの、GCVに貢献するという観点から今後Scope1,2,3の削減目標を定め、再エネ導入などを検討する
技術 労働
時間
社内のITインフラの強化・改善が遅れると、業務の⾮効率化、労働時間の増加に繋がり、結果としてCO2排出の増加に繋がる リモートワークに特化した社内ITインフラと社員の労働時間管理の強化
市場 エネルギー 電源構成に占める再生可能エネルギー比率が上がることで、電力価格が上昇し、運用コストが増加する 財務影響としては極めて軽微
広告 脱炭素に向けた政策・規制の影響により、GHG排出量が多い業種に関連した企業からの広告収入が減少 顧客や取引先等と共創・協働により、サプライチェーンのGHG排出量削減支援や、サステナビリティ支援により社会課題の解決を推進
評判 顧客評価と人材確保 脱炭素に向けた取り組みが不十分と顧客に評価された場合、新たな事業機会の喪失や事業機会と人材の他社への流出が発生
また、ESGによる社会的評価の低下により、従業員の定着率が低下や社会的課題解決に意欲的な優秀な人材の確保が困難になる可能性がある
脱炭素社会に向けてデジタルシフト領域で新たな事業機会を創出
また非財務情報を開示するとともに、イニシアティブ等にも積極的に参加し、継続的な発信と取り組みにより評価機関にて高スコアを得る
資本市場
評価
非財務情報開示や脱炭素に向けた取り組みが不十分と資本市場に評価された場合、当社の格付けが低下して株価が下落し、市場からの資金調達条件が悪化する可能性がある
物理的
リスク
急性 機会
損失
異常気象(大型台風、洪水、熱波、突発的豪雨等)により売上機会損失と営業停止による損害増加の可能性がある 拠点ごとの災害リスクは限定的と考えられる一方、BCP対策を推進するとともに、リモートワーク継続によるリスク分散
慢性

機会一覧

リスク 区分 事業インパクト 事業インパクト
1.5℃ 4℃
移行機会 市場 脱炭素社会に向けた規制強化の動きが加速する中、企業のDXによる業務効率化に対するニーズが高まる
またサステナビリティ関連サービスのニーズ増加に新たにビジネス機会の創出が見込める
評判 脱炭素に向けた取り組みが積極的だと顧客や社会に評価された場合、社会的課題解決に意欲的な優秀な人材の確保が進む
脱炭素に向けた取り組みが積極的だと投資家に評価された場合、株価上昇や持続可能な企業価値向上につながる
物理的機会 異常気象の激甚化
(台風、豪雨、
土砂、高潮等)
激甚災害の頻度増加によるBCPニーズの高まりに対応するIやDXソリューション需要が高まる
強靭性 柔軟な働き方を推進することは、COVID-19パンデミックや気候災害などで社員が出社困難になった場合でも事業
継続が可能となるため、リスク対応力を高め、企業としての強靭性を強化することにつながる

気候変動のリスク及び機会の当社事業への財務影響評価

当グループで選定したリスク及び機会項目の財務影響評価を行いました。項目ごとにパラメータを定め、影響を受ける項目を「売上または費用」として区別し、財務影響額を算定しました。また、洗い出したリスクと機会において定量的に財務影響算定できると判断した範囲は算定ロジックとパラメータの有無より、以下の2つであると断定しました。
今回は算定した範囲における売上への影響ではなく、移行リスクへの対応費用のみを記載しております。

リスク 事業インパクト 使用
パラメーター
定量化
内容
2030年
1.5℃ 4℃
移行機会 石油燃料由来のエネルギー使用に伴うGHG排出への
炭素脱の導入
炭素価格 費用 +0.04億円
エネルギーミックス 再エネ電力需要の高まりによる購入電力単価の上昇 電力価格 費用 +4,591.87円 ー4,740.68円

リスク管理 Risk management

気候関連リスクマネジメント

当グループでは、企業活動を通じて地球環境や社会にポジティブなインパクトを与えることを目指し、サステナブルな社会の実現と当グループ持続可能な発展のため、グループのサステナビリティ活動の推進を行う組織としてサステナビリティ委員会を設置し、気候変動による影響への対応を進めております。
気候変動に関するリスクは、サステナビリティ委員会でリスクの選定と審議を行い、その後、グループリスク管理基本方針に基づいて、グループリスク委員会で、評価、管理を行います。識別したリスクはサステナビリティ委員会にてリスク対応策の検討を行い、その後取締役会で対応策が協議・承認されます。

リスク管理体制

リスク管理プロセス

リスク管理
プロセス
担当する会議体・組織
リスク評価の範囲 当社グループ
リスクの
識別・評価
グループリスク委員会(評価)
サステナビリティ委員会(識別)
リスク対応 サステナビリティ委員会、コーポレート部門、各事業会社
モニタリング・
報告
取締役会
グループリスク委員会

指標と目標 Indicators and targets

気候変動リスク・機会の評価、及び管理に用いる指標と目標

当グループでは、気候変動関連リスク機会の評価指標として、Scope1,2排出量の算定を行なっております。
2021年度の直接排出のScope1排出量はゼロとなっております。
間接排出のScope2排出量は、働き方改革の一環として積極的にリモートワークを推進し一部オフィスのフロアを返却したこと、また、東京オフィスでは2021年8月以降、再生可能エネルギー100%電力を使用する電力供給に切り替わったことにより、2021年度排出量は2020年比で50%以上減少いたしました。
今後もScope1,2排出量を継続的に把握するとともに、東京オフィスでは事業活動における使用電気CO2排出量ゼロを実現に努めていきます。
また次年度以降、顧客や取引先等と共創・協働により、サプライチェーンのGHG排出量削減支援(scope3)を行うべく、当グループにおける体制構築と削減目標を定め、サステナビリティ支援により社会課題の解決を推進してまいります。

温室効果ガス排出量

カテゴリ カテゴリ名 年間排出量(t-CO2)
2019年 2020年 2021年 2022年
Scope1※1 直接排出 0.000 0.000 0.000 0.000
Scope2※2 関節排出 720.997 546.614 250.495 54.91
Scope1・2合計   720.997 546.614 250.495 54.91

※1:直接排出量(2019年〜2021年度直接排出なし)
※2:電力使用による排出量

算定期間:2019年1月から2021年12月の3年分
開示対象:広告事業、デジタルシフト事業
算定方法:マーケットベース
*算定の方法には、ロケーションベース(日本全体の排出平均原単位を使用して算定するもの)と
マーケットベース(電力会社ごとの排出原単位を使用して算定するもの)のうち、後者のマーケットベースを採用しております。
Scope2で使用した排出係数:電気事業者別排出係数 令和2年度実績