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「妥協せず壁を乗り越える。その先に、新しい価値がある」 エンジニア4年目。確かな手ごたえが拓いた次のステージ

2024.08.01
株式会社オプト
CX CREATION2部
三木 雄大 Yudai Miki
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2013年に塾講師・サポート校での教務職と、教育の現場の経験を積む。
2020年11月に株式会社olivaに入社、エンジニアとしてのキャリアをスタートし、サブスクリプション管理システムや、LINEを使ったチャットシステムの開発に従事。
その後、2022年7月に株式会社デジタルシフトに合併し、企業向け保険申込サイトの新規開発を担当。
2023年6月からはChatGPTを活用したプロトタイプ開発に携わり、最新技術を駆使して成功に導く。
2024年4月に株式会社オプトに再合併し、現在も品質向上と顧客満足度の向上に注力している。

2024年4月に行われた「New Value Forum 2024」のプロフェッショナル部門 ファイナリストとして登壇したひとりが、株式会社オプト CXCREATION2部の三木雄大です。ChatGPTを用いた、社内業務プロセスの改善ツール「QA bot」をわずか4か月でつくり上げ、人的リソースの削減と回答精度の向上に寄与したことが高く評価されました。

エンジニア4年目と駆け出しながら、1つの結果を示した三木。試行錯誤のすえ完成させた「QA bot」開発の舞台裏をはじめ、いまの心境とこれまでのキャリア、そして目指す先について、語ってもらいました。

新技術を使ったプロダクト開発にゼロから挑む

 ――三木のエントリーテーマは、『新技術ChatGPTを用いたプロトタイプ開発』。年に500件ほど届く、社内業務に関する問い合わせ対応を、人に替わってChatGPTが行う仕組みづくりに挑戦したプロセスを発表しました。

「開発の発端はお客さまから『生成AIを使ったプロダクトをつくれませんか』と質問をいただいたことにありました。それならば、まずは社内で事例をつくってみよう、とスタートしました」

――しかし、三木たち開発チームにはChatGPTに関する知識や経験を持った社員はほとんどおらず、最初の1カ月は海外のウェブサイトや論文を読み込むなど、情報収集に努めたといいます。その後、仕様を検討するにあたって、受けた質問に対して過去のデータがあれば情報を返し、なければ回答せず終了する、のような一問一答形式を当初考えていたと話します。

「ただ、それだとChatGPTじゃなくても事足りるんですよね。部長からも『会話をしながら質問者の意図を聞き出すようなChatGPTらしさがないと、単なるFAQと変わらないよね』と指摘され、自分たちも『そんなボットが完成しても、実際に使ってもらえるのだろうか』と考えるようになり、ああでもないこうでもないと、さらに1カ月くらい検討が続きました」

――こうしてようやく開発がスタートするも、その行程は前途多難。しかし、その難しさが三木たちの開発者魂に火をつけ、高いモチベーションを生み出すことになりました。

「最もこだわったのは、回答の精度です。過去の質問と意味的に近い回答を探して返すだけなら早い段階で出来上がっていたのですが、これだと過去の質問に似た問いには返せるものの、変化球が来たらお手上げなんです。ここで再び、『実際に使ってもらえるのだろうか』という疑問が付きまとうようになりました。それならば、もっと精度を上げて回答パターンをできる限り増やそうと、アイデアを出し合って、実装して試すことを繰り返しました。そのようにして見つけたのが、『HyDE(※1)』という手法です。ただ、技術的には傍流の扱いだったので自分たちでコードを書く必要が生じたのですが、これも私たちにとって大きなトライになりました」

※1 HyDE:
生成AIや自然言語処理において使用される技術の1つで、特定のタスクや文脈に基づいて仮説的な文書やテキストを生成し、その生成された文書を高次元のベクトルとして埋め込むプロセスを指す。

――こうして「QA bot」は、ベクトル検索(※2)とキーワード検索の2つを搭載したあらゆる質問パターンに対応できるソリューションとしてリリースされます。

「もちろん、このほかにもたくさんの壁がありました。しかし、私たちにはそれらすべてを乗り越える必要がありました。『最先端技術であるChatGPTを使ったから、これで良いだろう』という考えは通用しません。実用的でなければ、どんな革新的なプロダクトであっても無用です。使う人が使いたくなるものをつくろうというただ1つの信念が、私たちが妥協せず完成まで走る続けられる動機になりました。もともと妥協を良しとしないメンバーばかりが集まっていましたが、『QA bot』の開発を通して、その気持ちはより強くなったと感じています」

※2 ベクトル検索:
テキスト、画像、音声などのデータを数値のベクトルで表現し、そのベクトル間の距離や類似度を計算することで、似ているデータを検索する検索方法のこと。

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新しい価値創造の実体験が、仕事への熱量を変えてくれた

――「QA bot」の完成は、オプトにChatGPTに関する知見と実績をもたらし、現在、お客さまに提案できるケイパビリティの1つになっています。また、4カ月という短い開発期間で完成させたという実績が、どんな新技術でも、それに対する知見がなくとも、いち早く価値を創造できるポテンシャルがオプトにあることを社内外に示すことにもなりました。
この2つの成果を得られた三木には、仕事に対するいっそう前向きな気持ちが芽生えています。

「新しい価値創造は自分には難しい。New Value Forumは自分には関係ない。去年の私はそう思っていました。けれども、『QA bot』という1つの新しい価値づくりが、自分の自信をつくることにもつながりました。妥協せずに取り組み、壁をどんどん乗り越えていったその先に新しい価値があるんだと気づけたのです。この想いが、New Value Forumのエントリーにもつながりました。
実際、ステージでのプレゼンは、とてもいい経験になりました。メンバーからは、『この日を境に喋り方が変わった』と言われています。自分でも意思をはっきり伝えられるようになったと感じますし、普段の業務も熱量を持って伝えられるようになりました」

――なお、三木にとってNew Value Forumへのエントリーは、2022年にデジタルシフト社と合併したoliva社でともに働いてきた仲間へのエールでもありました。デジタルシフト社の受託開発を担当していた三木たちは、2024年4月1日の組織再編により現在はオプトのCX CREATION2部の一員となっています。「QA bot」の開発も、旧知のメンバーとの取り組みでした。

「メンバーの頑張りを称えたい思いと、『新しい価値創造は身近なもので、一人ひとりの日々の仕事に関係することなんだよ』と伝えたい思いがありましたが、各メンバーは前向きに受け取ってくれたと感じています。『QA bot』は現在、社員から届く質問の2割に対応しています。残りの8割にも対応できるよう引き続き改善を図り、業務効率をいっそう上げられるツールとして役立ててもらえれば、と思っています。そしてこの事例をもとにお客さまにも活用いただけるようさらに実績を積んでいきたいです」

教育業界の課題解決に挑む思いが、新しいキャリアを開拓

――エンジニアになる前は教員をしていた三木。これは大学で学ぶなか、教育が社会に与える影響の大きさを感じたことがきっかけになったと話します。

「初めは塾の講師をしていました。そこは少人数制を特徴としていて、小学生から高校生まで幅広い年代の子どもたちに勉強を教えていました。人に教えるって面白いんです。自分の能力が人のためになることは、とても大きなやりがいでした。そのうちもっと多くの子どもたちに教えたいと思うようになり、通信制高校に通う生徒を支援するサポート校に転職しました」

――そこでは実際に教壇に立ち、子どもたちに数学を教えていたといいますが、あるとき三木は、教員とは効率性を度外視した仕事であることに気づきます。

「アナログな業務がとても多かったのです。たとえば、テキストをつくるにも、参考書をコピーする、ハサミで切ってのりで貼る、印刷にかける、生徒に配るという現場であったし、生徒への連絡手段も電話のみ。同じ授業を何度も行うことも効率的とはいえません。こうした教育業界の慣例に課題を感じると同時に、大学時代に興味のあったプログラミングで解決できるんじゃないか、と考えるようになりました」

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――これをきっかけにプログラミングを改めて学び始めた三木は、やがてエンジニアとして働くことを希望するようになり、エンジニアとしてのキャリアがスタートします。その2年後、oliva社はデジタルシフト社と合流。三木にとってそれは、所属先が変わるくらいの認識でしたが、思いもかけず多くの刺激に出合えたと振り返ります。

「誰もが仕事に本気だし、前向きだし、妥協を良しとしない文化があります。また、New Value Forumに参加して、改めてグランプリの阿部さんのように、最新技術を活用する技術力もあることを実感しました」

お客さまの先にいるエンドユーザーに寄り添う

 ――oliva社の合流から2年目の今年4月、グループ再編にともない、三木も現職に。業務内容は変わらないものの、お客さまとの向き合い方には大きな変化が生まれ始めているようです。

「それまで大切にしていたのは、発注をいただくお客さまの満足度です。お客さまのご希望に沿ってシステムをつくる。お客さまのやりたいことをどう実現し、いかに満足してもらえるのかを考える。そこで止まっていた感覚があります。しかし、いまはお客さまの先にいるエンドユーザーの思いに添うことが重要と考えるようになりました。これは部署名にCX(カスタマーエクスペリエンス)が冠されたこと、昨年インサイトコア社から合流した、マーケティング開発領域 上級執行役員:SVP 竹村さんの影響が大きいです。部の中でも主語をエンドユーザーにしようと話していますし、お客さまに対しても、必要であれば一歩踏み込んで提言するように心がけています」

――このようにして仕事の価値観を新たにした三木ですが、やりがいは教員時代のまま変わらず、自分の知識や経験が相手の課題解決につながったときに感じられるといいます。

「大学受験に挑む高校生に勉強を教えていましたが、生徒は私の解ける問題のレベル以上のことを解けるようにはなりません。どうにか合格をつかんでもらおうと自分の能力を上げる努力を続けてきました。いまは、その能力をお客さまと、お客さまの先のエンドユーザーのために高めていくことがやりがいにつながると思っています」

――自分が頑張ることで向き合う相手に好影響をもたらすことができる。それが自分の励みにも、自分を高めることにもつながる。この好循環が三木の仕事への情熱をつくっているのでしょう。

「問題解決ができるのであれば、最先端の技術にこだわる必要はないはず。ただ、解決手段はたくさん持っておきたいので、今後もスキルアップは欠かせません。たとえば、どの企業にとっても重要になるセキュリティの分野は、専門性の高い知識が必要とされますが、ゆくゆくはこうした分野も担えるエンジニアになることが目標です。チームとしても、ChatGPTに限らず多種多様な生成AIを扱える組織を目指しています。その点、これからますますエンドユーザーが主語になっていくことを考えると、より世の中の役に立ち、インパクトのあるシステム開発に踏み込んでいけることに、大きな期待を感じています。オプトはいろいろなことにチャレンジできる会社なので、私のやりがいももっと大きくなると思っています。いつか教育業界に貢献できる日を目指して、いまはこのフィールドで自分自身をしっかりと磨いていきたいです」

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