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生成AIの登場で変わるビジネス。人にしかできない創作活動をもっと。現場の最前線に立つ阿部一馬に訊く、AI時代のキャリアの歩みかた

2023.12.25
株式会社オプト
ソリューション企画部
阿部 一馬 Abe Kazuma
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2017年 株式会社オプト入社後、半年でチームマネージャーに昇格。2018年に沖縄にあるオプトのクリエイティブチームを強化するため、沖縄へ移住し、2020年部長に昇格。2023年に自ら手を挙げ、ソリューション企画部へ異動。クリエイティブ×AIの分野を担当し、広告効果予測ツール「Open CTR Predictor」や、ChatGPTと効果予測AIを活用し、多数の広告テキストから厳選することで効果的な広告クリエイティブを実現する「CRAIS for Text」の開発に携わっている。

デザイナーとして社会に出た阿部一馬。オプト入社後は、マネジメントで自分の正攻法を見つけ、デザイナー部門の組織拡大に貢献。現在は、クリエイティブとテクノロジーを掛け合わせたプロダクトの企画に情熱を注いでいます。
本インタビューでは、阿部のこれまでのキャリアと仕事観を紐解きながら、AI時代を生きる私たちに必要なスキルについて、本人ならではの切り口で語ってもらいました。

デザイナーとして活躍するなかで見つけた「Web広告」という次の針路

「正直、デザインに特段の興味はありませんでした。高校卒業後、専門学校に進んだのも上京するための手段でした。さまざまな学校のパンフレットを眺め、良さそうだと思った学校が、たまたまデザイン系の学校だったんです」

ーーそう話す阿部は、デザイナーという職業に当初こだわりは無かったと回想しつつも、「学んでいて楽しかった」と、学生時代を振り返ります。

「たとえば、世の中にあるデザインを見て、『これは格好いい』『あれはダサい』って思う感性はどなたにでもありますよね。しかし、いざつくってみると自分が格好いいと思うイメージどおりに出来上がるとは限りません。そういう難しさも含めて、デザインにはおもしろさを感じていました」

ーーやがて就職の時期を迎えた阿部は、デザイン制作を職業とする姿を親に見せようと、インターンシップとして働いていたデザイン会社に入社します。デザイナーとして高いスキルを求められるプロの現場で積み上げた経験は、大きな糧になりました。その後、同業種への転職を挟み、2017年、オプトに入社。きっかけは、Web広告の台頭です。

「時代的にWeb広告が盛り上がりつつあり、周りから話を聞く機会も増え、興味を持ちました。自分の手がけたデザインが世の中にどのような影響を与えているのか、どのような設計のもとデザインやコピーが表現され、そしてアウトプットされていくのか、その仕組みを知って能力を身につけたいと思ったのです」

マネジメントの壁を乗り越え、自らミッション拡大にコミット

「入社直後は、バナー広告やランディングページの制作を担当していたのですが、ほどなくしてチームマネージャーに任命されました。それまで後輩ができたことすらなかったのですが、制作物のクオリティにとことんこだわる姿勢が功を奏し、マネジメントで成果を出すことができました。すると翌年、『沖縄に行ってみないか』と上司から声がかかり、沖縄コーラルオフィスに3カ月の期限で赴任することになりました」

ーー沖縄コーラルオフィスは、デザイン・クリエイティブ制作を担っており、阿部には業務領域の拡大を目的としたチームメンバーの能力開発が託されました。しかし、当時在籍するメンバーのほとんどはデザイナー未経験。それぞれの理解度や習熟度の違いを前提としない阿部の画一的な指導に、メンバーは戸惑いを覚えます。気づけばメンバーとの間に大きな溝が生まれてしまいました。

「このままではいけないと思うものの、3カ月の期限は目の前に迫っていました。沖縄で成果を残せないまま、東京に帰りたくはありませんでした。『仮説を検証し尽くすまでは沖縄に赴任させてほしい』と率直な気持ちを上司に打ち明けたところ、前向きな回答をいただきました。3カ月、1年と赴任を引き伸ばし、どうすればうまくいくのかを模索し続けました」

ーーその後の阿部は、メンバーの個々に合わせた指導とフォローを徹底。すると、各メンバーが成長を実感できるようになり、一人ひとりに挑戦心が生まれ、難易度の高い案件に取り組む姿も見られるようになりました。こうした良い兆しを弾みに、阿部は自らのミッションをメンバーの能力開発から組織のマネジメントへと拡大。一連の奮闘によって軌道に乗った沖縄コーラルオフィスは、高い成果を出し続ける組織へと変貌を遂げます。この実績が評価された阿部は、2019年下期MVPを受賞。その後も沖縄コーラルオフィスに留まり、メンバーの成長に向き合い続けました。

「赴任当初、沖縄コーラルオフィスは、バナーのリサイズくらいしか対応できる業務がありませんでした。その状態から、現在は静止画や動画、ランディングページの制作もできるようになり、人員も5倍に増えました。いまでは、『オプトのデザインの本丸は沖縄』といえるまでになっています」

ーー沖縄コーラルオフィスの成長は、阿部自身の成長でもあります。本人はこの取り組みを経て、二つのことを強く意識するようになったと話します。

「一つは、『課題が何か、目的は何か、結果が出ているか』を見ることです。たとえば、手法にaとbがあったとき、どちらを選択するのが正しいのか迷う方もいらっしゃると思うのですが、私はこの二つに理論的な正しさはなく、自分がうまくいったほうが正しいと思っています。マネジメントにおいても、目の前にいるメンバーが結果を出すためには厳しく接するのが良いのか、優しく接するのが良いのか、うまくいく方はどちらかを考えるようにしています。
もう一つは、『前に進めている感触を持てているか』。別の言いかたをすると、『結果が出ていないのに好きなことを続けられますか』ということです。たとえば、メンバーがイラストを強みにしたいと言っているとしても、デザイナーとして一番に評価されるのはデザインのうまさです。イラストは付加価値にはなるものの、デザインが抜け落ちた状態では強みにはなりえません。その職種、その分野で求められるコアなスキルを伸ばすことが最も大事なのに、そこで評価されないからと勝負を避けてしまうのは残念だし、もったいないことです。むしろ、嫌いなことでも評価されるのなら私は頑張ることができます。つまり、大切なことは、それに取り組むことで結果が出ていると感じられ、前向きになれている感覚があるかどうかだと思っています」

ーーこの考え方は、阿部の仕事観である「自分が幸福であること」にも通じています。

「不幸せでいると、周囲の心配なんてしていられません。自分は幸せだと感じられる方向、つまりは前に進んでいる実感を得られる方向に自分を向けていくことが重要であり、そこに手応えを感じられるから人にも好影響を与えられるのだと思います」

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デザインに通じるプロダクト開発のおもしろさ

ーー現在の阿部はマネジメントを離れ、マーケティング・アセット本部に所属。2023年にオプトがサービス提供を開始した、ChatGPTと効果予測AIで効果的な広告クリエイティブの制作を実現する『CRAIS for Text』、バナー広告のCTR予測ツール『Open CTR Predictor』の開発に、プロジェクトマネージャーとして関わっています。

「主な業務は、各プロダクトにおける機能開発の要件定義です。アイデア出しやユーザー心理の分析をはじめ、どのような仕組みにすれば思い描く形になるのかを考えたりしています。その一環として、沖縄コーラルオフィスのメンバーにもプロダクトの使用感を聞いたり、成果物の出来映えや影響度を確認したものを開発に盛り込んだりもしています。
実際に連携していると、さまざまな発見があります。自分が思ってもみない使い方に感心することもあれば、自分が使ってみて不便な部分に気づくこともあります。そのたびに、ツールやソリューションはユーザーによって完成されるものであることを実感します。こうしたさまざまな方向から得られた示唆を踏まえ、課題をどのように解決するのか、どのような機能を新たにつくるのかを考えることは、デザインのアイデア出しに似ていて好きですね。日々、学びながら開発に取り組んでいます」

ーーそう言って顔をほころばす阿部は、デザイナーとして積んできた経験がものづくりの本質を押さえることに生きている、と口にします。

「私がつくったから良い広告なのではなく、ユーザーが反応して初めて良い広告といえるのと同じです。プロダクトも自分本位にならないよう意識してつくっている点は、デザイナー時代から一貫してつながっているのかもしれないですね。結局大事なのは、ユーザーが使えるものなのか、ユーザーにとって有効なのか、有意義に働いているのか、ですから」

生成AIの登場が人の創造活動を活発化させ、新しい才能を生んでいく

ーー今後の目標として、クリエイティブ×AIの分野で世の中に対して新しい価値を提供することを掲げる阿部は、数ある類似サービスのなかから選ばれ、「プロジェクトマネージャーに話を聞いてみたい」と世間から求められるような成果を上げたいと意気込みます。そう思い描くとおりに『CRAIS for Text』や『Open CTR Predictor』が普及したとき、クリエイティブの世界はどうなっているのか。デザイナー職としてのキャリアを歩んできた阿部は、このように観測します。

「アイデアを実現するハードルは大きく下がると思っています。プロンプトに入力したとおりの画像が生成されるのですから、デザイナーの仕事はAIに取って代わられていくのでしょう。しかし、それは画像をつくるという『生産活動』の部分です。一方、どのような目的で、どのようなデザインをつくるのかという『創造活動』は、まだまだ人が価値を発揮しなければならない分野です。デザイナーに限らずですが、生産活動をAIに任せることで浮いた時間を創造活動に充てていくことが大切になるだろうし、そのなかで新しい才能も生まれてくると思います。たとえば、経理の方がAIツールを駆使してクリエイティブに挑戦したら、周りから一目置かれるような。AIはそのような可能性を秘めています。そのような世界をつくるためにも、私に伍するデザインをAIが生み出せるプロダクトをつくりたいですね。自分すら必要なくなるソリューションが示せたら、きっとおもしろい世界になるはずです。そのような世界で、たくさんの才能が開花することに期待したいです」

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