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日本の産業を支えるすべての企業に「マーケティングの力」を開放したい。“全員野球”で挑んだ、新しい価値創造の舞台裏

2024.06.27
株式会社オプト
ソリューション営業本部 営業部 部長
久保倉 慎吾 Kubokura Shingo
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2011年新卒入社。金融企業(証券・信販・損保)などの企業を担当し、4年目から外資保険企業への常駐勤務を行う。
各案件にて総合代理店と協業したメディアミックス戦略の推進を多数手がける。
2016年に帰任し、人材・旅行業界の広告主様のブランド・獲得プロモーションを支援。
エキスパート職として、アプリ・システム環境の設計や、統合プランニングなどを手掛け、2021年よりEC・人材大手企業向き合いの営業長に着任。
2022年にポートフォリオ変革を目的として新設された第2営業本部(現ソリューション営業本部)に異動。

営業パーソンとしてMVPの受賞経験を持つ、株式会社オプト ソリューション営業本部 営業部 部長 久保倉慎吾(2011年新卒)。2022年、会社が提案した重要ポストを固辞してまで挑んだのが、SMB(※1)市場の開拓でした。それから2年にわたる暗中模索と七転び八起きの末、たどり着いた景色。ここまでの道程には、仲間を動機づけ、進む針路を示し、“全員野球”を楽しむ本人の姿がありました。
『New Value Forum 2024』プロフェッショナル部門ファイナリストに輝いた取り組みの一部始終と、これまでのキャリアを語ってもらいました。

※1 SMB:
Small to Medium Businessの略で、中小規模事業者を指す。

“高3球児の夏”をもう一度~『New Value Forum2024』を振り返る

――New Value Forumの出場を「らしくないことをした」と、答えた久保倉。それでも一緒に走ってきたメンバーに背中を押され、壇上に立ったその姿は、多くの社員の感動を集めました。

「特に、グループ各社の方からのリアクションが大きかったですね。私たちの取り組みは、オプトの一部門でありながらも、新規ビジネスです。成功をつかむ難しさを知っているグループ各社の方から、強い共感を寄せてもらいました。加えて、若手社員からは、『SMB企業の支援をキャリアの一つにしてみたい』『日本を支えるSMB企業に価値貢献したい』という声をもらいました」

――そう話す久保倉が取り組んできたSMB市場の開拓は、かねてより、オプトが強化したいと考えていた領域です。

「日本のSMB企業は、全産業の98%を占めています。こうした方々にも、『マーケティングの力』をお届けしたい。その先で、私たちのパーパスである『新しい価値創造を通じて産業変革を起こし、社会課題を解決する。』が実現していくのだと思います」

――しかし、すべてはゼロからのスタートです。さらには、投下できる人も時間もエンタープライズ(※2)のお客さまほど潤沢とはいえません。新たな価値を生むためのチームづくり、既存のお客さまへの貢献、新規のお客さまの開拓、そして、正当に利益を生むための仕組みづくり。たくさんのミッションに対し、トライアンドエラーを繰り返すも、1年目は目標未達に終わります。

「結果を出せなかったことは本当に悔しかったですし、この状況を生み出してしまったことをメンバーに対して申し訳なく思いました。ただ、正しい努力を続けていれば、必ず成果に結びつくことを証明したいという思いがありました」 

――そこで久保倉は、2年目を迎えるにあたり、二つの目標を立てます。

「私は中高での野球経験と、いまも甲子園観戦が大の趣味ということもあって、『高校3年生の夏に球児が甲子園を目指すような情熱を持ってこの事業に向き合う』と決めました。実態は球児というよりも監督のポジションでしたが、誰よりも主体者でいたいと強く思っていました。もう一つは、成功例が社内外にほとんどない状態だったため、『どこが前か』ではなく、『私たちの進む道が前』と覚悟を持って進めることでした

――さらに、久保倉は、抜本的な組織構造の改革にも着手。お客さまに最大限の力を投入するため、メンバー同士で相互連携できる組織に変え、メンバーには未経験業務を含めたチャレンジを促し、一人でクライアントに向き合ってパフォーマンスを出すよう求めたのです。
気持ちも組織も新たに2年目がスタート。久保倉たちは、多くの課題に対し成功するまでアクションを積み重ねます。その姿は甲子園出場を目標に、ただひたむきに白球を追いかける球児のようでもあり、一本のホームランだけでは勝敗を分けられない泥臭く粘り強い戦い方でもありました。
この「正しい努力」は実を結び、目標を上回る結果につながります。そこには、全員野球で夢の舞台への切符を手にしたかのような久保倉の晴れやかな表情がありました。

※2 エンタープライズ:
SMBの対となる概念で、大規模事業者を指す。

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部内カルチャーを社内一に磨き上げたチーミング

――成果を出すために久保倉が取り組んだ一つが、カルチャーづくりです。社内で目立つのは、お預かりする予算の大きいエンタープライズのお客さまの取り組みであることから、メンバーはやりがいを見出しづらいのでは、やっていることに自信を持てないのでは、と懸念を抱いた久保倉。さまざまな仕掛けでメンバーの士気を高め、ミッションを達成できる体制をつくりあげました。

「その一つが、メンバー同士が会話する機会を定期的に設けることです。2年目からは組織のフラット化を進めたことから、上席者がマネジメントに関する明確なミッションを持たなくなりました。そのため、メンバーは知識や経験を持つ人を自分で探し出して話を聞く必要に駆られたのですが、これが部内の良好なコミュニケーションにつながりました。
さらには、『正しいのか、正しくないのか』『できるのか、できないのか』ではなく、『過去からどれだけ変化があったのか』にフォーカスしたフィードバックを心がけたところ、メンバーが前向きに仕事に向かえる大きな要素になりました

――このほか、受注や予算達成などメンバーに良いことがあれば、自前で用意したガチャガチャを回して景品を贈ったり、みんなで食事をしたりと緩急ある施策も実施。一緒に喜んだり面白がり方を工夫したりすることで、ポジティブな空気を増幅させることにも力を入れたと話します。
こうした取り組みもあり、久保倉の部署に所属するメンバーのエンゲージメントは社内でもとりわけ高いことがデータにも表れていることは、特徴といえるでしょう。

個の力を磨き続けたいと願う思いが仕事の原動力に

――自分の想いを形にし、結果を出してきた久保倉ですが、その姿は入社当時から変わることはありません。大学時代の久保倉がもっとも力を入れて取り組んだこと。それはゼミの活動でした。1か月に1回15分だけ、20人の前でプレゼンをする。これ以外のルールはまったくないユニークな内容だったといいます。

「発表内容にも決まりはなく、経営学部だったので企業活動に関する発表をしていました。その後、質問タイムに移るのですが、内容が面白ければ1時間くらい質問が続くものの、イマイチなら即終了してしまいます。発表した内容の手応えが露骨に分かる点が自分には合っていました。この経験は『ゴールまでの道のりを自分で決めて実行する』というオプトの方針と近く、おかげでビジネスに必要な感覚を学生時代から磨くことができました」

――オプト入社後の久保倉は営業に配属されます。数ある経験のなかで、いまでも忘れられないエピソードとして挙げるのは、入社4年目から1年半にわたり外資系企業に常駐していたときのことです。

「いまも日付まで覚えていますが、担当の方から『日本から事業撤退します』と告げられたことです。事実上の契約打ち切りです。このときの私は、常駐支援という当時ではまだ事例の少ない経験をフックに、MVT(Most Valuable Team:社内で半期を表彰する納会における最優秀チーム賞)をねらっていました。ただ、表彰対象期間は半年後からのため、いまは準備期間と決めていたのです。その矢先の出来事であり、自分の力を出し惜しみしなければ、お客さまの事業にも成果が出て、このシナリオにはならなかったんじゃないか、とずっと後悔が残っています」

――この経験は、「いま、この瞬間、お客さまの1円1件に真剣になれているのか」と自分に問う貴重な機会になったといいます。そして2019年、お客さまに大きく貢献したことが評価され、MVPを受賞。次はマネジメントの立場から貢献してほしいと考える組織の思惑とはうらはらに、久保倉は「個の力を磨き続けたい」と会社に直談判します。

「ピラミッド型組織内の出世以外にルートのないキャリアは、会社にとっても後輩にとっても幸せとはいえません。これ以外のモデルケースをつくれないのか、と訴えた結果、営業部から初めての『エキスパート職』としてのポジションが与えられました。
私は社会人になったからには、これまで育ててくれた母親に恩返しをしたいと思っています。そのためには、経済的にも時間的にも自由でいなければならず、個の力を磨き続ける必要があります。数ある企業のなかからオプトに入社を決めたのも難易度の高いとされる無形商材を扱っているからです。これらが売れるようになれば、市場価値の高い人材になれて仕事に困ることがないと考えたからでした」

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SMB市場への挑戦が生んだ自らの変化とは

――エキスパート職になって2年、満を持して部長職に挑戦した久保倉でしたが、思いのほか順調に、しかも早い段階で好結果が出たことに物足りなさを覚え、1年が経たないうちに次の身の振り方を考え出します。そこにタイミングよく届いたのが、グループ役員を見据えたポストへのオファーです。

「仕事の悩みは2日あれば答えを出せるのですが、このとき初めて1週間考えました。その結果、役員というポストを経験することは大きなチャレンジであり、いつか履歴書を書くときに有利になるかもしれないけれど、いまの自分に必要なキャリアはそっちじゃない。それよりも、いままでにない仕事がしたいと思い、『こういうミッションをもらえないか』『このような仕事をオプトでできないか』と、経営陣に逆オファーしていました。そのなかの一つにあったのが、SMB市場の開拓です。実は部長をしているときに挑戦したかったのですが、既存業務にリソースを割かれ、ままならない状態にあったのです。そして、このころ、記憶に蘇ってきたシーンがあります。それは、4つ上にあたる2007年新卒世代の活躍が目立っていた時代のこと。『ゼロナナ世代が、いつまでも先頭を走っているのって悔しいよね』という同期との会話でした。MVPも受賞したものの、会社を引っ張っているような感覚は得られなかった。ただ、SMB市場の開拓には先人を切って取り組むのだから、その気持ちを味わえるかもしれない、と期待も高まりました。
提案したとき、役員からは意外に思われましたが、会社も私も面白がって取り組めるし、“高3の夏”はそこで過ごせるんじゃないか、とワクワクしたことを思い出します

――そこから2年、自分のなかに確かな変化を感じる久保倉の姿がそこにあります。

「まず、主語が『私』から『私たち』に変わりました。これは、いまの仕事を何のためにやっているのか、それがいかに新しいことで、かつどんなに難しいことなのか、と日々考えているからであり、そこに一緒に向き合う仲間への強いリスペクトがあるからです。もしも私がみんなを引っ張り上げていたら、このような気持ちにはなれなかったはず。カルチャーとパフォーマンスをどのように一致させていくのかを考えるようになったことが、一番の変化かもしれません。マネジメントの面白さを見つけることができました」

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仕事に面白さを見出せたとき、そこが自分の居場所になる

――「エンタープライズ」「SMB」と分け隔てず、同質性のあるサービスを提供すること、さらには両者のアセットを掛け算できる世界を目指して最良の支援を模索していくことが、ソリューション営業本部に課されたテーマといえるでしょう。それは、バランスと柔軟性、頭脳と体力、個人の力とチームの力を求められる野球のように複雑さをともなうものですが、考えること、行動すること、そして楽しむことを止めない久保倉なら、きっと最適解を導いてくれるはずです。

「私がSMB市場の開拓に前向きに取り組めた理由の一つは、大手資本を持ちながら新規事業ができるユニークさでした。会社の利益を未知なるものに投資するため、各部門に納得してもらう必要があるぶん、“筋肉痛”が大きいんですね。その痛みをかばいつつ、筋力をつけていく面白さは、誰よりも見出していたように思います。
私はオプトのことを、『7割本業、3割本業以外に時間を使って良い会社』だと思っています。その3割がお客さまと自分の部署、メンバーと自分のように、二方向以上にメリットのある取り組みなら許容されてきたからです。このようにオプトにはゴール設計から自分でできる面白さがあるため、新天地に行くよりも自己実現しやすい環境があると思っています。『ITが伸びているから』『広告に興味があるから』という理由から、オプトで働いていたり関心を寄せたりする人もいると思いますが、自らの目的意識のもと、マーケティングの手法を使える面白さにも、ぜひ気づいてもらいたいです」

――異端者であり、破天荒でもある、久保倉のキャリアと仕事観。けれども、「変わらないことは変わり続けること」を実行し続けるその姿勢が、この先も、オプトに新しい景色を見せてくれることでしょう。

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