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「LTVMのグロースリーダーを目指す」 新生オプトを率いる金澤大輔が語る、新しい価値創造に向けた次なる一手

2024.04.01
株式会社デジタルホールディング 取締役 兼 株式会社オプト 代表取締役 CEO
金澤 大輔 Kanazawa Daisuke
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2005年㈱オプトに入社。2013年より、執行役員に就任。2015年より、代表取締役社長 CEOに就任。2017年より、㈱オプトホールディング(現㈱デジタルホールディングス)上席執行役員に就任。2021年3月より、㈱デジタルホールディングス取締役グループCOOに就任。2024年4月より、㈱デジタルホールディングス 取締役 兼 ㈱オプト 代表取締役社長 CEOに就任。

※本文は取材当時の情報です。

この4月から新体制となった、オプト。最前線で指揮を執るのは、これまでオプト代表取締役社長 CEOを経て、デジタルホールディングスの取締役 グループCOOとしてグループを牽引してきた金澤大輔です。
新たなスタートラインに立った金澤に、これまでのキャリアと、デジタルホールディングス取締役 グループCOOとしての3年間の総括、そこから踏み出す次の目的地への歩み方を尋ねました。

テレビ番組ADから一転、ITの世界へ

ーー「世の中に何か影響を与えたい」——。学生時代、自分が制作した映像に感動する観客の姿を見て、“人の心を動かせるもの”は素晴らしいと感じた金澤。金澤が最初に選んだキャリアは、テレビ番組の制作会社でした。情報番組のアシスタントディレクターとして、道行く人のコメントを集めてまとめるのが日課でしたが、作業はすべて手書き。一つの仕事を終わらせることに、6時間かけていたといいます。

「このスピード感では、“世の中に影響を与える存在”になるまでに時間がかかりすぎると感じました。そんなときに出会ったのが、インターネットです。現地の様子や過去の番組情報が瞬時に、かつ容易に手に入ります。インターネットがテレビに変わる媒体になるのでは、と感じ始めました」

ーー金澤は、IT企業への転職を決意。しかし、未経験者への門戸は狭く、見かねた転職エージェントは、契約社員を対象としたオプトの会社説明会を案内します。しかし、金澤が足を運んだのは営業職対象のブース。そこで、「必要な人材になってみせるからチャンスをくれないか?」と直談判したのです。その熱意を買われてアルバイト採用が決まり、その1か月後には正社員に。金澤は意気揚々と働き始めますが、周囲からの指摘が、金澤の転機となります。

「仕事が増えていくにつれ、新しいチャレンジよりも現状維持を目指していると周囲から指摘され、このままではいけないと思い直しました。そこで、『2年以内に営業で成果を残して全社MVPを受賞します』と宣言し、自分を奮い立たせました。仕事に対する意識が大きく変わった瞬間でした」

オプト社長に就任。V字回復で周囲の懸念を一掃

ーーこの宣言を有言実行した金澤は頭角を現し、営業部長、本部長、執行役員を歴任。2015年には、オプトの代表取締役社長 CEOに就任します。しかし、この時期はオプトと電通の資本業務提携が終わったタイミングでもあり、これから会社がどこに向かうのか、広告事業そのものがどうなっていくのか、不透明かつ不安な状態からのスタートでした。

「業界内では『34歳の社長が矢面に立ったけれど、責任を取らされて終わるだろう』という見方をされていました。ですが、私の気持ちはそうじゃない。オプトは広告で本気で成長していくことを、社内外にしっかり明示しました」

ーーその方針を進めるべく、金澤は新事業の模索、人事制度の刷新など内外問わず精力的に改革を実行します。なかでも「大胆な施策だった」と振り返るのが、社員の給与のベースアップです。

「社員の平均年収を100万円上げました。当時、社員は650人いましたから6億5,000万円の投資です。監査役からは『辞表を書くなら、やりなさい』と言われましたが、これで私の本気度が社員に伝わりました。目標に掲げていた市場成長率No.1を達成し、業績もV字回復。広告代理店という既存ビジネスを立て直すことができたのです」

攻めの姿勢が生み出した、新たな成長の兆し

ーーその後、グループの執行役員を経て、2021年4月、デジタルホールディングス取締役 グループCOOに就任。そこから丸3年にわたる業務執行をこのように総括します。

「当社は、オプトホールディングだった頃から、広告代理事業に依存した、“広告代理店一本足打法”といわれてきました。そこから、創業オーナーである鉢嶺が社名を変えることで、産業変革への強い覚悟を示しました。だったら、私たちも、大きなリスクを取って変革を起こそうと、会社を分割し、新しい価値創造のための多様なカルチャーを取り入れてきました。しかし、事業シナジーが生みにくい“飛び地”と言われる新規の事業では、私たちの持つノウハウやアセットを活かしきれなかった点もあったと感じています」

ーーその成否を分けたのは、マーケティングに関わる文脈の事業開発かどうか。たとえば、LINEのミニアプリを活用した集客支援やコンテンツづくり・事業開発は成長の兆しが見えたものの、マーケティングと距離のある業務効率化のような取り組みや、ゼロから立ち上げた事業は、その先の展開につなげる難しさがあり、事業撤退や、グループ外で育む判断がなされました。
その一方、社内に好影響を及ぼすことができた施策も。そのなかから金澤は、二つの施策を挙げます。

「一つは、パーパス経営にシフトしたことで、新しい価値創造に向けた土台ができたことです。その成果として、私たちの考えに共感いただいた二つの開発企業をはじめ、起業家や事業家の方が当社グループにジョインし、産業変革を起こすための打席に立っています。
もう一つは、最先端のテクノロジーや社会の変化に敏感に反応できる会社になれたことです。グループ内にデジタルシフト社というDX・開発に特化した組織が生まれ、リテイギが産業特化の事業開発を推進したことで、『ありたい姿に向けて、ユーザーにどのような体験を提供していくのか、事業を伸ばすうえでベストなビジネスモデルについて考えよう』というカルチャーが生まれています。この両社がいままでに無いものをつくる文化、お客さまに本当に貢献できる真のパートナーであるための文化をつくってくれました」

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ーーこのほか、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の取り組みにおいても、自らが担当取締役としてコミットメントし、チームメンバーとともに一歩ずつ前進している点も成果として挙げています。

目指すのは、LTVマーケティングの新しい基本づくり

ーー金澤は、この4月からオプト代表に就任。数年先の将来を見越し、世の中やお客さまの課題に向き合うなかで得られた知見と感触をもとに、グループのアセットを駆使して、勝ち筋を見出そうとしています。

「ここからは“世の中の未来のシナリオ”にしっかり適応していくことが最優先です。これができれば、お客さまのビジネスへの解像度が高まり、確度の高い情報を持つことができる。すると、私たちの独自性にもなり、差別化戦略、競争戦略につなげられると考えています」

ーーその道筋に掲げるのが、「LTVM(※)の実現」です。オプトは、LTVマーケティングのグロースリーダーを目指し、お客さまの近くで、お客さまの事業やエンドユーザーをデータから深く知り、ユーザーとのコミュニケーションを速く、永く、行うことで、お客さまを導いていくことを標榜しています。

※ LTVM:(Life Time Value Marketing)
LTV(顧客生涯価値:Life Time Value)は、従来、あるユーザーが商品・サービスを初めて利用してから、長期的な関係のなかで、サービスを提供する企業が、当該ユーザーから得られる利益を指す。そのため、サービスを提供する企業側が「いかに一人の顧客から利益を得られるか」という視点で表現されることが多い状況にある。
しかし、当社グループにおいては、企業側が得られる利益を示す観点でのLTVではなく、これまで以上にエンドユーザーを理解し、真に顧客に寄り添った支援に注力し、エンドユーザーへの本質的な価値提供に重きを置くことで、短期利益ではなく、顧客企業の永続的な事業成長に貢献するという概念として捉え、その実現を目指す手段として、「LTVM(Life Time Value Marketing)」と名付けた。

「いまの日本で行われているLTVマーケティングは、客単価を引き上げるにはどうしたらいいのか――誤解を恐れずに言うと、お客さまからいかに搾取するのか、のような施策が横行していると感じます。そのようなことをしていて世の中が本当に良くなるのでしょうか。短期的には儲かるかもしれませんが、中長期的にはどんどん利益は減少していくでしょう。その結果、マーケティング業界自体が健全に成長しなくなることを懸念しています」

ーー新生オプトが着手するのが、LTVマーケティングの“新しい基本”づくりです。これまでデータを軸に成長してきた強みを活かし、“心豊かな体験”の提供によるユーザーのロイヤルカスタマー化、デジタルとリアルの融合の実現で、お客さまの事業成長に貢献していく、という考え方です。

「これができれば、私たちの提供する一つひとつの価値に対する対価も変わるだけでなく、この業界に優秀な人材がもっと集まってくると思います。
私がアルバイトとして入社した2005年当時、社員は100人前後の規模でしたが、お客さまの成長と会社の成長、そして自分の成長の三つが重なったときに、最もやりがいを感じられました。自分の携わっていることが、市場の成長に直結していると実感できたときに、自分たちの仕事を誇りに感じましたし、お客さまやマーケットにもっと貢献したいと思えるようにもなりました。あの時の気持ちは、いまでも忘れられません。
デジタルの業界は新しい機能が次々生まれるからこそ、規模が大きくなっても私が実感したような世界観をつくることができると思っています。あの手触り感を、LTVマーケティングによって社員やお客さまにも実感してもらいたい。いまは、そこに向けて“新しい基本”をつくり、マーケットの健全な成長に寄与できる未来を想像して、ワクワクしています」

ーーそして、社内に向けては、大事にしたい価値観やカルチャーの総称として新たに『US』を掲げます。これはどういうものなのか、金澤はこのように話します。

「USは、私たちが目指したい指針です。グループとしての存在意義であるパーパス、それを実現するための行動指針である『5BEATS』、それを運用していくための組織行動システムである『経営コンテキスト』。この三つを結びつけ、社会や事業や人が成長していくためのサイクルを年輪のように育てていきたい。『US』は、その真ん中にある、“私たちの存在そのもの”と位置付けています」

働きがいと誇りをいっそう持てる組織に

ーー新しい事業方針と新たな指針。これらを携え、新生オプトとして踏み出すいま、金澤は組織のなかにも、ありたいイメージを明確に描き出しています。
 
「働きやすさ以上に大切なことは、働きがいではないでしょうか。そして、働きがいとは、一人ひとりがパーパスの実現に向け、成長しながら自分自身の人生をデザインできる能力を身につけることだと思っています。ですから、社員にも会社から言われたとおりにただ働いてほしくはありません。そこに自分の意志を込めてほしい。そのためにも、コンフォートゾーンからラーニングゾーンに全員で一歩踏み出したいですね」

ーーその先に、自分たちがマーケットを動かしているという手触り感と誇りを持てる組織になれると期待を膨らませる金澤は、新しい仲間に向けてこのように呼びかけます。

「これまでの3年間、成功の影には失敗もありました。ただ、私たちはうまくいかなかったことのなかに“宝の山”があると思っています。そこからの学びを次につなげていくためにも、包み隠さずお伝えすることが私たちの透明性であり、インテグリティ(誠実性、高潔性)です。
当社には、誰もが平等に挑戦できる環境があります。私たちの目指すパーパスに共感する方、そして、自分のパーパスを実現したい方は、その志と行動力のもと、ぜひ私たちとともに、成長を目指しましょう」

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