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資源循環の要となる静脈産業をもっと認められる産業に。信頼されるパートナーとして業務プロセスのDXを推進

2022.10.27
JOMYAKU株式会社
代表取締役社長
田平誠人 Masato Tahira
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株式会社ソーシャルリクルーティング(現:ポート株式会社)創業期、株式会社フリークアウト・ホールディングス上場期の社長カバン持ちを経て、スマホ訪問修理事業で起業し売却。その後個人間カーシェアリングサービスで起業し、トヨタ自動車株式会社との協業を経て、その後某社へ事業売却。複数の事業立ち上げに従事し、現職。

※本文は取材当時の情報です。株式会社JOMYAKUは、現在は事業撤退しております。

※本文は取材当時の情報です。株式会社JOMYAKUは、現在は事業撤退しております。

起業家として数々の新規事業を生み出してきた田平誠人は、次なる挑戦の場としてデジタルホールディングスグループで、廃棄物の処理、再資源化を担う静脈産業における支援の道を選んだ。静脈産業への想い、そして提供するサービス『まにまに(*)』を通じて仲間と共に成し遂げたいこととは。

*まにまに:廃棄物・リサイクル業界における配車の依頼受付と、配車手配業務を効率化するWebサービスです。"まにまに"とは、奈良時代の口頭語で「思うがままに」という意味があり、廃棄物・リサイクル業界の方に「思うがままにサービスを使いこなしていただきたい」という想いを込めています。

 

“役割を果たして当たり前”と捉えられがちな静脈産業にスポットライトを

私のミッションは、静脈産業をもっと働きやすく、注目される業界にすることです。今後、人類が存続するためには資源の循環は不可欠で、その大きな鍵を握るのが静脈産業です。

2021年10月、JOMYAKU社の代表に就任しました。JOMYAKU社では、「社会インフラを支える全てのひとを応援する」というミッションのもと、生産・消費活動から排出・廃棄される不要物を回収し、再資源化に向けて処理をする静脈産業に対し、業務プロセスのDX化を進めています。

静脈産業は人々が日常生活を送る上で欠かせない社会を支えるインフラサービスですが、
一方で、廃棄物・リサイクル業界における収集運搬業者様の配車受付業務は、電話・FAXの利用が98.7%であるなど、依然として業務は属人的でアナログな手法が中心です。

例えば、「木くずを回収して欲しい」という依頼が来ると、「誰が」「どの車両で」「いつ回収するのか」の3つの変数を組み合わせて回収を行います。加えて、回収手段がフォークリフトの必要があれば、専門の免許を取得しているドライバーをアサインしたり、廃棄物を回収するビルに車高制限があればトラックを調整する必要があったり、木くずといっても材質次第で降ろし先が異なったりなど、さまざまな条件を加味しなければいけません。非常に複雑な業務の中で、コミュニケーションの基本は電話やFAX。電話がつながらないなどの時間のロスから、肝心の配車作業に注力しづらい状態が課題としてありました。

JOMYAKU社が提供する『まにまに』は、廃棄物・リサイクル業界における配車の依頼受付と配車手配業務を効率化するWebサービスで、ひとめで配車状況を把握できることが可能です。廃棄物・リサイクル業界で働く方の業務を軽減し、1時間でも早く帰れる環境を作ることで、離職率の低下と採用力の向上に繋がることを目的にしています。

小さな一歩ではありますが、循環型社会の実現に向けた支援ができている感覚があります。
今はまだ、業務プロセスの効率化に焦点をあてたWebサービスではありますが、今後は一気通貫してDX化できるようWebサービスを刷新し、さらなる価値貢献を目指しています。
 

学生時代から事業づくりに奔走する日々。社会に価値を生む感動を覚える

大学2年生のとき、本格的にビジネスの世界に入りました。大学受験に失敗して、なんとか遅れを取り戻したいという思いが原動力としてあったんです。理由のない不安から、インターンシップという形で創業4ヶ月のスタートアップ企業にジョイン。当時はSNSが流行り始めた頃で、SNSを活用した採用手法を採用課題の多い企業様に提案することをしていました。お客様の認知が広がり母集団形成ができて実際に採用につながるなど、自社のサービスを通して社会に価値が生み出されていく瞬間を目にして、すごくワクワクしたのを覚えています。深夜1時や2時くらいに会社内の残っているメンバーで事業の可能性の話や未来の組織の話をしたり、提案の質にこだわって会社に寝泊まりしたりしてしまうほど真剣に取り組んでいました。

その後、大学4年生のとき、シリコンバレーに行きました。現地のスタートアップやファンドの話を聞くうちに、夢を抱いて前向きにチャレンジしている姿がかっこよく見えて。新卒で正社員として安定して働くのではなく、体力も時間もある若いうちだからこそ起業に挑戦してみようと決意しました。

2社目のインターンシップでは、自らが事業を立ち上げるための勉強も兼ねて、上場する直前のスタートアップで働きました。上場という勢いを目の当たりにして、事業を創っていく大変さや素晴らしさを体感しましたね。同時進行で、国内外のスタートアップの事例を見ながら、自らが事業を立ち上げる種を探していて。気づいたのが、日本ではスマートフォンの訪問修理事業が普及していないことでした。そこで、お客様のオフィスや自宅にお伺いして、20分で液晶を交換する事業を始めました。自ら秋葉原に足を運び、実際の作業にどのくらいの時間がかかるか、キレイに交換するためにはどれくらい練習する必要があるのか、などの検証を重ねました。売上が伸びてきたころに事業を譲渡する形になりましたが、この頃に自分がオーナーシップを持って事業を立ち上げる大変さと楽しさを体感しました

次なる挑戦は何にしようか考えた結果、個人間のカーシェアリングサービスを立ち上げることにしました。ちょうどその時は、資産をシェアリングするサービスが流行していたのですが、『家』の次に大きな資産となる『車』に着目したんです。1回目は自己資本だったものの、今回はファンドから資金を調達。しばらくして大手自動車メーカーの目に留まり、協業することになりました。ただ、自らが当初から構想していたサービスからギャップが生じはじめ、自分が本当にやりたかったことなのか悩んだ結果、最終的にはサービスを売却することにしました。この時、大事な意思決定は自分自身で決めることが大事だと改めて学んだんです。圧倒的な熱意をもって取り組むことが何より価値を生む土台になりますから。

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デジタルホールディングスとの出会い。新しい価値提供への切符を掴む

2020年2月、現デジタルホールディングスグループCIOの石原から、事業の種を見つけて検証して欲しいとご連絡をいただきました。まずはさまざまな業界を視野に入れてブレインストーミング。ふとしたきっかけで、石原の友人であり廃棄物リサイクル業界に勤めている方を知りました。さまざまなお話を聞いていくうちに、業界課題をテクノロジーの力で解決できる可能性を感じて。デジタルホールディングスグループとの親和性も高く、興味が湧きました。その後は100社程度にヒアリングをして、課題を詳細に把握し、事業計画を立案。子会社の代表として3回目のチャレンジが始まりました。

業界をもっと知りたいという想いからヒアリングを重ねていくうちに、廃棄物・リサイクル業界で働いている方たちが、みなさん人情に溢れていることを知りました。私自身も思い入れが深まっていたタイミングであったし、デシタルホールディングスグループの資本力と信用力をもってこの市場で事業をやることが、一番良いと判断しました。
 

パートナーとして、いかに信頼を得られるかが鍵となる

事業立ち上げに至るまで、順風満帆に進んだわけではありません。むしろマイナスからのスタートでしたね。まずは、事業者様たちのシステムに関する不信感です。これまでシステムを導入しても便利にならなかった経験があり、マイナスの印象を持っている方々が一定数いらっしゃいました。次に、仕事がなくなるのではという不安感です。経営層からの理解が得られても、現場の方々からすると、自分の仕事がシステムに代替されてしまうのではと考えられる方も多く、結果的に活用されないままになってしまう過去がありました。

加えて、廃棄物・リサイクル業界自体が「信頼」に重きを置いている業界です。
というのも、各事業者様同士はライバルでありつつ、協業するパートナーだからです。廃棄物処理において、事業者ごとでそれぞれ処理できる廃棄物には違いがあります。自分たちが受けられない場合は、ほかの事業者を紹介して、お互いに協業していく必要があるのです。信頼できない相手を紹介してしまえば、クレームにつながりかねません。そのため、いかに信頼できる相手と仕事をするかを重視する文化が根付いていました。

私自身も、とある会社でJOMYAKU社のご紹介をしている間に、先方の社長が話の冒頭の10分間じっと私の目を見続けていたことがありました。10分後に「あとはよろしく」と責任者に引き継いで席を離れたのですが、あの行動は私が信頼できる人物なのかを、目を見ることで見極めていたのだと思います。私たちがいかに信頼される存在になれるかが、事業を立ち上げる上で重要なポイントでした。

私たちはただ誠実に、この産業のためにできることを伝え続けました。仕事がなくなる不安に対しても、業務効率化できることで人にしかできない仕事に注力できることを訴え続けました。Webサービスを理解していただくと同時に、ひたすらにビジョンや理念を伝え続けました。そうするとお客様から徐々に反応が得られるようになりました。

私が「日本を支えている静脈産業をもっと認められる産業にしたい」と想いを伝えた際も、事業者様が大きく頷きながら、熱い想いを返してくれて。単なる業界の課題感や仕事フローの話だけでなく、やりがいやこれからの将来像の話をしていただけることもありました。
私たちの熱意を信頼していただけて、ほかの事業者様を紹介してもらえたこともありました。人情溢れる世界を知り、ますます静脈産業の方々のサポートをしたいという想いが強くなりました。
 

事業を生み出していく中で気づいた大切なこと

事業を立ち上げるために大事にしていることは2つあります。1つ目は、Who、What、Howを明確にすること。そのためには、お客様の現場に行って、見て、聞いて、感じて、最適な組み合わせをあぶり出す必要があります。これは単にヒアリングの内容を鵜呑みにしてできることではありません。カツ丼を食べたことがない人が、カツ丼を発想することはできないと同様に、Webサービスをこれまで利用してこなかった人にどんな機能が欲しいかを聞いても、イメージがつけられない状態だからです。どんな課題が起きているのか、これを解決するためにはどうすべきなのか、追求し続けることが大事です。知れば知るほど、まったく違った見え方ができるはずなので。

2つ目は、最終意思決定は自分やチームが持つことです。いろいろな情報を知ってアドバイスを聞くことは大事です。ですが、最終決定をほかの人に委ねてしまえば、当事者意識が持てず、責任を果たせないし、失敗したとしても自身の血肉になりません。

Who、What、Howの軸を元に、自ら意思決定をすることを大事にしました。その結果生まれたのが『まにまに』であり、これからもっと機能を追加し、さらに静脈産業に貢献できるWebサービスへと成長させていきたいと考えています。
 

誠実で、思考を諦めない人と共に創り上げていきたい

今後の事業の成長のためにも、JOMYAKU社では新メンバーを積極的に募集中です。
絶対条件は、誠実であること。特に静脈産業は、人とのつながりや信頼が大事になります。私たちを信頼していただくためにも、誠実な姿勢が一番重要になると思っています。

物事を深く正確に知る探究心も大事だと考えています。これから新しい機能をどんどん追加していく予定ですし、業界や現場を深く知ることが不可欠です。私はよく「思考を諦めない」とメンバーにも伝えていますが、現場の人たちも言語化できていないことを、ゆっくり観察して、聞いて、真理を追求していく姿勢が大切になります。

これは私のポリシーに通じることですが、私は「苦楽を心底共有できる人を増やす」ことが幸せの基準だと思います。心から喜び合えたり、苦しいときに助け合えたりする人が増えれば増えるほど、人生も豊かになると思うのです。だからこそ、誇れる仕事をしながらチームメンバーや各事業者様ともそういった関係性を築いていきたいと考えています。

一般的に馴染みのある業界ではないですが、資源や環境、リサイクルなどという文脈で捉えると、どんな人にとっても身近な存在である廃棄物・リサイクル業界。限りある資源を未来に残すために私達にできることはなにか?テクノロジーを通じて業界にどのように貢献できるのか?正解のない答えに向き合い続けることができ、情熱を持って仕事に臨めるメンバーとともに、これからも静脈産業に光を照らす一歩を踏み出し続けていきたいです。

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