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30代後半からエンジニアとして技術スキルを再研磨。新しい価値提供に熱量をもっている人に伴走したい

2022.01.31
株式会社オプトインキュベート
取締役
山岸 大輔 Yamagishi Daisuke
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大学院卒業後、2007年株式会社オプトに新卒入社。
入社後、広告効果測定ツール「ADPLAN(アドプラン)」の開発管理に従事。2011年から合弁会社Platform IDにて、ターゲティング配信プラットフォーム「Xrost(クロスト)DSP/SSP」の開発管理を経て、開発部部長に就任。2018年からは株式会社オプトインキュベートに異動し、お客様の新規事業立ち上げにて伴走型での開発支援を行う。2020年同社取締役となり、自社事業「Pocone(ポコン)」の開発をリードする。

※本文は取材当時の情報です。2024年4月1日より、株式会社オプトインキュベートは、株式会社オプトに統合しております。

※本文は取材当時の情報です。2024年4月1日より、株式会社オプトインキュベートは、株式会社オプトに統合しております。

「事業を創る仕組みを創る企業」として、インキュベーション事業を行う株式会社オプトインキュベート。同社の取締役を務める山岸大輔は、現在SaaS型事業開発プラットフォーム「Pocone(ポコン)」の開発を担当し、事業戦略やサービス設計、要件定義から実装までの全工程に携わっています。新卒で株式会社オプトに入社をしてから、早い段階でマネジメント業務を担当していたため開発の実装経験を積めなかった山岸は、30代後半でエンジニアスキルを学び直すことを決意しました。決意の理由は何か。そして、基礎に立ち返ることで起きた大きな変化とは。

視野を広げるために、自分にできることは何でもやった

2007年に株式会社オプトにエンジニアとして入社しました。入社してから2010年くらいまで、広告の効果測定ツール「ADPLAN(アドプラン)」のカスタマーサポートやプロダクト開発を担当していました。リスティング広告の効果測定領域が担当であったため、広告の専門部隊と連携して「どのような機能があれば入稿しやすいか、レポートを作成しやすいか」を考えて、開発要件を整理し、外注の会社に指示を行うディレクション業務が主な仕事でした。

一般的には、エンジニアで入社した場合、コーディングなどの実装職務から技術力を身につけていくケースが多いのですが、当時の「ADPLAN」は外部の会社が実装を担当していました。実装スキルを磨きたい気持ちもあったのですが「まずは、視野を広げよう」といろんなことに挑戦しましたね。所属したカスタマーサポートチームや企画・開発チームに限らず、インフラチームと一緒にデータセンターにサーバーを搬入してセットアップを行ったり、データ分析チームのデータマイニングを手伝ったりと、業務範囲を限定せず積極的に動いていました。何か新しいことが立ち上がるたびに「やりたいです!」と手を挙げていたと思います。

2011年にPlatform IDという合弁会社が設立されて、私は「ADPLAN」を離れ、「Xrost(クロスト)」というブランドで立ち上がったADネットワーク構想をベースとした、DSP(※1)やSSP(※2)のプロジェクトマネージャーとしてターゲティングの根幹になる外部データ連携を担当することになりました。
この新しい事業にも興味はあったのですが、これまでのようなディレクション中心の関わり方ではなく、実装を担うことで、開発スピードを上げたり、品質を上げたり、細部にまで手が行き届くプロダクト開発体制を作りたいと考えていました。そのことを上司に提案し続け、ようやくその挑戦の場が実現するはずだったのですが、直前になって白紙に。悲しかったのですが、これもまた運命なのかもしれないと受け入れました。

翌年の2012年には「Xrost」を統括する部長を任されることになり、「気持ちを切り替えよう!」と考えた私は、その日からスーツで出社することを決め、ゼネラリストとしてのキャリアを決断。本当は、実装経験を積み、ひとまわり大きなエンジニアになって、スペシャリストのキャリアを考えていましたが、その方向性とは決別する意味がありました。決意を自身の見た目にも表現した感じですかね。
開発部長になってからは、「Xrost」ブランド全体のプロダクトマネージャーとして、エンジニアのマネジメントおよび開発組織の全体管理と経営層とのコミュニケーションや事業戦略策定、サービスの設計、新プロダクトの企画、企業アライアンスなどを行いました。

※1 DSP(Demand Side Platformの略称)
広告主や広告会社が使用する広告在庫の買い付け、広告配信、掲載面・オーディエンスのターゲティングを一括管理するプラットフォームを指す。
 
※2 SSP(Supply Side Platformの略称)
広告枠を提供している媒体側で利用するプラットフォーム。インプレッションが発生するたびに、最も収益率が高い広告をDSP内から自動的に選択し、配信する仕組み。

 

「今、学び直さないと大きな価値提供はできない」30代後半でエンジニアの技術を1から身につける

ゼネラリストとしてのキャリアを決断してから5年以上が経過した頃、子どもが生まれ、田舎で子育てをしてみたいと考えるようになりました。その時「地元で起業したい」と考えている人と出会い、起業を手伝うことになりました。「何か新しいことをはじめたい」と思う人に寄り添い、形にして世の中に価値貢献をする。今の世の中、起業するには何かしらエンジニアの力が必要であり、少しでもエンジニアとして貢献したかったんです。

しかし、私はエンジニアとして「実装」スキルが乏しくて、プロダクトを作る過程では、私が一人いてもほとんど何もできません。だから、起業を手伝おうにもエンジニアとしてやれることが少なかったんです。今後の人生を改めて考えてみても、やはりもう一度、今こそ実装スキルを身に着ける時期なのではないかと思いました。そこでメンバーに「申し訳ないが、どうしてもプログラマーとして仕事がしたい。」と伝え、次の日から服装を私服に戻しました。

しかし、その話を聞いた私の経歴を知る人たちからは非難の嵐でした。当時の私は30代後半だったので、「今さらモノを作る側に向かうなんて時間の無駄ですよ。」「あなたよりも書ける若くて優秀なプログラマーはたくさんいますよ。」というようなことを多方面から言われましたね。ただ、今さらスペシャリストなプログラマーになりたいわけではなかったんです。今よりも早く、品質のよいものを作るにはどうしたらよいのか、強い開発組織を作るには何が必要なのか、を考え続けてきた中の選択肢の1つに「自分が実装を担う」というものがあっただけでした。

そんな中で、1人だけ「年齢とか経歴とか関係なくて、作りたいなら作ればいい。」と背中を押してくれたメンバーがいたんです。そこで気持ちが固まりました。ただコードを書くことが好きな新卒1年目を相手にするように、最新の実装技術について丁寧かつ厳しく教えてもらいました。

毎日勉強をしながら、実際にプロダクトを作ってスキルを研磨していく日々。よく「30代後半でゼロから始めるのは、辛くなかったですか?」と聞かれますが、自身のスキルを高め続けないと新たな価値を継続して提供できないと思っていましたし、一度は決別したけれど本当はやりたかったことだったので、私にとっては楽しさしかありませんでした。

実際に、エンジニアスキルを再研磨したことによって大きな変化がありました。これまでプロダクトを作る際に、「どういう世界を創るのか」「誰にどんな価値を届けるのか」「そのためにこういう機能が必要になる」といった大枠の部分をひたすら手掛けてきました。でも実際に作ることだけは人に依頼していて、そうすると、自分が持っている事業に対する熱量みたいなものをプロダクトにうまく組み込めなかったんです。

自分で作ることができれば、「事業戦略上、このプロダクトはこういった成長ステップを描くだろうから、設計はこうしておこう」「ターゲットセグメントが変わると機能の優先順位も変わるので、今は作りすぎないでおこう」「いずれ、このあたりがボトルネックになるだろうから、新しい技術に差し替えられるようにしておこう」というように思い描いている事業成長に合わせた作りを細部にまで浸透させておくことができます。

また、設計~実装の詳細まで理解していると事業の実行スピードが格段にあがります。たとえば、戦略会議を経て、目指す方向性や必要な機能の要件が途中で変わったり、サービスの方向性を変更したりすることが多々あるかと思います。そうなっても、「プロダクト自体はこのように変えれば良い。期間は○○くらいで追加人員は不要、事業計画には影響でないですね。」とその場で議論して決断することができます。

現在は、オプトインキュベートに異動して、「Pocone(ポコン)」というアプリケーションを作っていますが、今まで開発を外注していた時のものづくりとはまったく違う体験をしています。ビジネス側を理解しながら実装も行うことができると、かゆいところまで手が届く開発ができているという実感がありますし、戦略変更のプロダクトへの反映が早くて、今までよりもはるかに事業を実行しやすいと感じています。
これは、ビジネス側から実装工程に下りて行ったことで起きるパラダイムシフトだと思っていて、プログラマーからマネージャーになってビジネス側にオーバーラップしていく通常の流れでは感じることができない感動体験なのかなと思っています。

過去の失敗から学んだすべてのことを最新の開発に注ぎ込む

現在手掛けている「Pocone」というアプリケーションは、マッチング・シェアリング、およびサブスクリプション型事業などのプラットフォーム構築を最短1日で可能にする事業創出特化型SaaSです。「Pocone」自体の開発は、私が今まで後悔してきた思いを昇華して作っていきました。例えば、ある企業様が「月額4,980円でマイボトルにコーヒーを入れ放題」といった新サービスを立ち上げようとしていると仮定します。新規事業で使うアプリケーションの機能を検討するにあたって、「この機能がないと、このリスクに適応できない。」とか、「この機能がないと、このターゲット層は囲えない。」と、さまざまな要件をつけてSIerに見積もりを依頼してみると、何千万という金額になってしまいます。

しかし「Pocone」に契約していれば、アプリケーションをイチから作る必要はありません。会員認証やQRコードによる利用証明、店舗検索といった機能を「これは使いたい、これは使わない。」と選んでいくと、お客様のニーズに合ったアプリケーションが手に入るんです。だから開発会社にお願いしたりするよりも、圧倒的に早くて簡単。「アイデアがあるのだったら、明日からサービスを行ってみよう」といったことを実現でき、お客様のデジタルシフトに寄り添っています。

誰かの「こんな価値を届けたい」に伴走していきたい

今は、40歳になった節目の時なので「ここから先の10年はどうしようかな」と考えはじめています。ちなみに「地元で働きたい」という夢は実現していて、2018年の冬から石川県に住みながらリモート勤務を行っています。仕事も通勤時間がなくなった分、生産性が向上しているし、何よりも子どもを伸び伸び育てられているという実感があり嬉しいです。

今後は、「Pocone」をベースにWebサービス開発市場で事業を大きくしていきたいと思っていますが、個人的には「アイデアと熱量を持っているけれど、エンジニアがいないために形にできない」といった課題のある、グループ内の新規事業案件や新会社を手掛ける方々に伴走して必要なプロダクトや開発体制を作っていきたいです。

まだ何もない場所でゼロイチを形にしていくことが好きなんです。そう考える背景には、おそらく若い時に責任者といったポジションになって、いろんなものが足りていない中でひたすらもがいてきた経験があるからだと思います。誰かが描いている事業構想を一緒にどんどん叶えていきたい。そうすれば、世の中にもっと価値貢献できるグループになれると信じています。

~『New Value Forum 2022』の舞台に立って~ 会社という枠組みを超えて価値提供を続けたい

■『New Value Forum 2022』とは?https://digital-holdings.co.jp/news/20220127/1519

デジタルホールディングスグループ社員総会である『New Value Forum 2022』。

本イベントは、従来の社員総会とは趣向を変え、「新しい価値創造」を体現する取り組みに関するプレゼンテーションイベントです。デジタルホールディングスグループ内で新たな挑戦をしている社員たちの、情熱と挑戦を讃える場として開催しました。

2021年に行った「新しい価値創造」を体現する取り組みをグループ社員よりプロジェクト単位でエントリーしてもらい、グループ執行役員をはじめとする9名の審査員による1次:書類審査、2次:プレゼンテーション動画審査を経て、5名のファイナリストを選出しました。当日の最終審査では、①新規性・②挑戦性・③変革性の3つを審査基準として、9名の審査員と全社員の投票によりグランプリを決定しました。

山岸は、約150件のエントリーがあった中で、ファイナリストの1人として選出され、最終審査にて、Pocone開発事例の紹介と全社員に向けた情熱あふれるメッセージを送るプレゼンテーションを行いました。

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■ファイナリスト 山岸のコメント

エントリーテーマ:「新規事業開発に必要なアプリケーションの仕組み化」
サービス概要URL:https://lp.opt-incubate.jp/

『New Value Forum 2022』は、とても楽しい場所でした。他薦で参加となった私が決勝という場で、全社員からお話を聞いてもらえる機会を頂けたことには感謝しかないですし、大変光栄なことでした。
私の挑戦物語を聞いていただいて、少しでも「小さなことでも挑戦してみようかな」と感じてくれる人がいたらいいなと思って決勝に臨みました。

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他のファイナリストの方々と話をする時間が結構あって、お互いのこともそうですが、現在抱いている課題感や今後のビジネス連携の話、グループの未来についてそれぞれの視点で情報共有できたことも良い場だったと思っています。
『New Value Forum 2022』は開催終了しましたが、今後も会社という枠組みを超えて、ビジネスの話や、大好きなエンジニアリングの話、何気ないコミュニケーションが普通にできるようになったことは何より嬉しいです。

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