より多くの社会課題を解決し、未来につづく社会のウェルビーイングを創る。
2011年オプト新卒入社。メディアコンサルタントとしてデジタル広告の提案および運用支援に従事。その後、2016年には現在のメディア戦略部の部長に就任。技術革新の加速とともに複雑化が進行するメディアの活用と向き合いながらクライアントへの価値提供を担う。2021年4月より、グループ戦略推進領域(Groupe Strategy Promotion:通称GSP)のメンバーとしてグループ戦略の構築を担当。また、グループ会社コネクトム・オプトインキュベート2社の取締役に就任。自社のMBA派遣制度により、2021年5月に大学院大学至善館にてMBA取得。優秀学生賞を受賞。
※本文は取材当時の情報です。
デジタルホールディングスは、グループ企業のシナジーを十二分に発揮するために、2021年4月にグループ全体のまとめ役「グループ戦略推進領域(GSP)」を新設した。高木良和は、その立ち上げメンバーのひとり。「より良い会社に成長させること」を目標に掲げ続けてきた彼が思い描く、これからのデジタルホールディングスの在りたい姿とは。
入社当時から抱いていた「より良い会社にしたい」という想い
昔から「人の感情」というものにすごく興味がありました。だから大学では心理学を専攻して学んだり、演劇の演出・音響に携わり、音楽と場の一体感による雰囲気醸成に感心を持って打ち込んだりしていました。広告は、人の感情を動かせる。広告業界を志したのも、その延長です。
オプトで内定をもらった日のことは、今でも鮮明に覚えています。内定式の帰り道で、当時オプトの代表だった鉢嶺さんに駅でばったり出会いました。「先ほど内定をもらった高木と申します」と、緊張しながら声をかけると「本当ですか? それはよろしくお願いします」と優しい笑顔で握手をしてくださった。その丁寧な対応が印象的で「この人がトップの会社は、きっと間違いない」と確信しました。
このような縁があって、オプトに入社したからには「会社をより良くできる存在になりたい」と胸に秘めていました。
そんな私が最初に配属されたのは、モバイル広告を専門として扱う部署。コスメ業種の担当でした。広告のことをそもそも知らないし、担当のコスメ業界も詳しくない。優れている同期が周りにいる中で、自分の強みを見つけ出せず叱られる日々でした。必死にしがみつくために、朝5時に起きた瞬間からひたすらビジネス本を読んでインプット。そのおかげで、少しずつ仕事のことや広告のこと、組織の中で働くということを理解できるようになっていきました。
最初の転機は、入社して2年目でした。社内で組織変更が行われたこともあり、モバイル広告に加えてPCの広告も扱うメディアコンサルタント部門に行き、金融業種の担当になりました。そこで、私自身が知り得た新しい情報を顧客に提供し続けた姿勢が評価され、大型コンペにもアサイン頂き、結果として勝利も出来ました。
さらには、広告主から当時最大規模の広告枠であるYahoo!ブランドパネル広告の5週分連続掲載の与件を頂いた時のこと。5週間の内で4週目だけ在庫が確保出来ず、危うく失注しかけました。しかし、当時のオプトメディア役員の方と一緒に、Yahoo!ブランドパネル広告枠を他代理店に対して在庫交渉を行い、交渉成功。在庫を譲り受けて、5週間分の在庫を確保し、広告主から無事受注。その行動の結果、売上1.25億円に貢献できました。成功体験の一方で、1つ大きな気づきがありました。それは、ある程度の地位がないと、交渉をしても聞いてもらえないこと。肩書も仕事においては大事で、目標にある「より良い会社にしたい」を叶えるためには、常にレベルアップをし続ける必要があることを学びました。
チームのベクトルを揃えることが、大きな価値を生む
次の転機は、メディア戦略部の部長としてメンバーを牽引していた時。
広告を取り扱う上で各メディア様とのリレーション構築は必須です。しかし当時、ある大手メディア様との関係があまり良くなかった。そこで任されたのが、関係立て直しのミッションでした。「どうすれば一緒に成長できるのか?」を常に頭に置いてメディア様とコミュニケーションを密に取り、業界市場動向や広告プロダクトに関する最新情報収集と事例アウトプットを社内に発信し、浸透する為の行動をし続けた。
具体的には、まず大手メディア企業様の目標数値を理解し、当社内でも同じ目線で目標を掲げることにしました。さらに、目標達成に向けてはゲーミフィケーションを取り入れた全社横断でのプロジェクトを四半期毎に実施しました。自ら構築した数字進捗可視化ダッシュボードを用意して、組織横断で数値進捗状況の共通認識を持てるよう努めました。いつでも数値の進捗が追えるようになることで、活動に貢献したメンバーには称賛の声が上がり、メンバー間でも活動に競争心が出てくる。盛り上げる程度にプロジェクトに競争心が生まれると、取り組みの勢いは増します。結果的に大手メディア企業様への目標達成にも貢献でき、強固なリレーションが構築できました。
このように、立場を問わず同じ目線を持つことは、共通意思を醸成して行動ベクトルを揃えることに繋がります。その結果、パートナー様からの信頼を得られ、広告主の皆様に対しても、より質の高い広告提案や広告活用による顧客事業の目標達成へと繋がる。「ベクトルを揃えることで大きな価値を生む」ということを、自社観点、パートナー観点、広告主観点のそれぞれで体感しました。
今まで抱いていた組織への想いを、実行に移せる場所へ
どうすれば、今いる社員に「この会社に入ってよかった」と心から感じてもらえるのか。今年の4月から所属している「グループ戦略推進領域(GSP)」は、入社してから抱き続けてきた「より良い会社をつくりたい」という想いを、ついに実行に移せる場所だと感じています。
GSPの役割をひと言で表すと、「デジタルホールディングスグループとしての一体感を高めて、全体のベクトルを揃えること」です。各社がバラバラに動いていると、デジタルホールディングスグループとしてのシナジーを生み出すことが難しく、結果的に社会に与えられるインパクトも小さくなってしまう。
デジタルホールディングスがヘッドクオーターとしてグループ全体の戦略の軸を策定し、各グループ企業が同じベクトルで事業を展開していく。そこで設けられたのが、私が所属するGSPです。デジタルホールディングスグループ一丸となって社会課題の解決に向き合える組織をつくっていくことが、私たちに期待される役割だと言えるでしょう。
自社の成長が社会課題の解決に。そんなエコシステムをつくりたい
ホールディングスとしてのベクトルを定めるために、まず取り組んだのがパーパスの策定です。実はこれまで各社がそれぞれにミッションやビジョンを掲げてはいたのですが、グループ全体としての存在意義(=パーパス)を言語化できていませんでした。
生まれたのが「新しい価値創造を通じて産業変革を起こし、社会課題を解決する」というパーパスです。
デジタルホールディングスを一本の樹木だとイメージしてみてください。そうするとパーパスは、いわば「太陽」です。樹木の「幹」にあたるのがグループ戦略。そこから太陽(パーパス)をめがけて伸びていく一本一本の「太い枝」が、各グループの事業です。枝は、成長するなかで「葉」という新たな価値を次々と創造していきます。葉からは、周囲の生態系を豊かにする「酸素」が生み出される。正にそれこそが、我々が社会に提供する価値であり、社会をより良くする為の貢献活動のイメージです。私たちの社会は常に成長することが求められます。成長する為には、世の中にはまだ無い「新たな価値」を社会全体で創造し続ける必要がある。そしてその「新たな価値」が、環境も社会も人も豊かにする。そこには“デジタル”は必要不可欠。デジタルホールディングスは、“デジタルと常に歩み続けてきた知見・経験・実行力”がコアアセットであり、だからこそ「新しい価値」を創造する担い手になれる。ならなければいけない。私達の活動は、樹木から「酸素」を生み出す様に、世の中をより豊かにする為の「新しい価値」を生み出し続けるものにしていきたい。「酸素」が創る生態系によって、結果として樹木が更に大きく成長する。同じ様に、私達の活動が社会課題解決に繋がり、結果としてデジタルホールディングスが更に大きく成長する。
こんなポジティブなエコシステムこそが、私たちの思い描く企業と社会の関係性です。私たちの成長が、そのまま社会課題の解決につながるようなサステナブルな企業体であり続けること。パーパスには、そんな想いが込められています。
もちろん、どんなに優れたパーパスも、掲げただけでは絵に描いた餅です。とくに一人ひとりの社員にとっては、日々の業務とパーパスとを直接結びつけることは難しいかもしれません。けれど「じゃあなぜ私たちは生きているのだろう?」ということを掘り下げていけば、「誰かに喜んでもらうため、ひいては社会や世界がより良くなる為」という利他目的の考えに辿り着く人が、多いのではないでしょうか。それに気づくことが出来れば「社会課題の解決」を自分ごととして捉えられる様になると思います。社内のさまざまな情報発信を通じて、パーパスに心から共感してくれる仲間を増やしていくことも、私たちの役割のひとつです。
これまで学んできた全てを、惜しむことなく共有したい
こうしたデジタルホールディングスグループ全体に関わる施策を進める一方で、GSPでは各メンバーがそれぞれ何社かのグループ会社の派遣取締役も担っています。私が担当するのはコネクトムとオプトインキュベートの2社。ここでの私の役割は、各社の経営陣が事業を進めやすい環境を一緒につくっていくこと。特に私の場合は、メディア戦略部で部長を務めていた際に培った、メディア・プラットフォーマーに対しての知見、及び組織や人のマネジメントなどの経験を共有することで、その成長をサポートしています。
また、2019年の8月から、MBAを取得するために通った社会人大学院での学びも、積極的に還元しています。それと実は私は、新卒の頃から書籍や研修、実務から得た知見を「持論集」としてまとめています。大学で学んだ心理学や個人的に興味関心を強く持つ脳科学について、他にも哲学や宗教、歴史など、幅広いジャンルから得た学びを、私なりにアウトプットして、資料に纏め続けております。私は、抽象的な知識を、図や端的なキャッチコピーで具体的にアウトプットして表現することが好きであり、得意なのだと思います。それを社員の皆さんに共有することで、私自身が学んだことが少しでも誰かの成長の糧に繋がってくれれば、こんなに嬉しいことはありません。
2023年までにウェルビーイング経営の実践をめざして
GSPでの取り組みを通じて、私がこれから目指すのは「ウェルビーイング経営」の実践です。ウェルビーイングとは、身体的・精神的・社会的に良好で満たされた健やかな状態を指す言葉ですが、「ウェルビーイング経営」という言葉は、これまでは身体的な良好さにばかりフォーカスが当てられてきた傾向があり、「健康経営」とも言われていました。しかしこれからは、身体的に加え、精神的・社会的な充足感も合わせて企業経営を通して従業員に提供出来るか否かが、ますます求められる時代になるはずです。そして、3つ共に企業経営としてアプローチすることに「ウェルビーイング経営」の真髄があると考えます。
そのためには、まずは信頼できる仲間と働くことが出来る環境をつくること。やはりどんなにビジネスモデルが優れていたとしても、人間関係が険悪だったら、そこで働き続けることが難しくなります。人間は社会性の生き物であり、人との「つながり」のなかで幸福を感じることが常ですから。
誇りを持って働ける会社であることも大切です。「自己実現」という言葉がありますが、私たちはさらにその先を目指したい。自身の能力を最大限に発揮するだけではなく、それを誰かのために使うこと。心理学者のマズロー曰く、人間が最後に望むのは、「自己超越」とも呼ばれる利他的な欲求です。「新しい価値創造を通じて、産業変革を起こし、社会課題を解決する」というパーパスを実現することで、誰もが社会のために働いていることを実感し、自分たちの仕事に誇りを持つ組織をつくっていきたいです。
更には、メンタル・フィジカルのヘルスケア支援や、ダイバーシティ&インクルージョンの促進。そして企業活動を通して社会に貢献し、その対価としての収益を高め続け、待遇面も豊かにすること。どれもが必要な要素です。
この「ウェルビーイング経営」について、私の目標は1つの型を創ること。型があることで、自社に閉じず世の中の企業に伝播していくことも出来るはず。そうすれば、様々な企業で働く人達が、企業に所属して活動することを通して、各々がウェルビーイングな状態になる。人生に充足感を持ちながら、日々活力を持ってワクワクと仕事を通した社会貢献活動を行う。日本がその様な世の中になれば、もっと明るく、「新しい価値創造」で溢れた国になる。そういう未来の社会を創ることに、大義を感じます。
2023年までに、こうした「ウェルビーイング経営」を社会に先駆けて実践していける企業としてデジタルホールディングスのグループ全体を導いていくこと。それこそが私のGSPでの最大のミッションです。