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広告代理店のビジネスモデルを根底から見直し、「新しい基本」を創る。オプトの新代表に聞く、目指すべき広告事業の姿。

2021.03.09
株式会社オプト
代表取締役社長CEO
栗本 聖也 Kurimoto Seiya
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求人メディアの営業を経て、2010年オプト(現デジタルホールディングス)入社。運用型広告のコンサルタントとして従事した後、営業部門、運用型広告コンサルティング部門部長を経て、2019年4月当社執行役員就任、アカウント領域管掌。2021年4月より、当社代表取締役社長CEOに就任予定。

※本文は取材当時の情報です。

広告代理の市場に「新しい基本」を創る。4月より、株式会社オプトの代表取締役社長に就任する栗本聖也が広告領域で掲げる新たなミッションだ。これまでデジタル領域を中心に、広告代理店として実績を積み重ねてきた同社がミッションを刷新した背景には、「これまでのビジネスモデルで、クライアントに真の価値を届けられているか?」という疑問があったという。そんな栗本に、これからの広告領域でめざすべき姿を尋ねた。

デジタルシフトによって、旧来型広告代理店は不要となる

私たちが広告領域で新たに掲げたミッションである「広告代理の市場に『新しい基本』を創る」について語るためには、これまでの広告代理店のビジネスモデルについてお話しなければなりません。

一言でいうなら、今までのビジネスモデルは「マージンビジネス」です。広告枠を所有するテレビや新聞、Webプラットフォームなどのメディアと、広告を出したい企業とを結びつけ、手数料を得る。これが広告代理店の基本的なビジネスモデルでした。広告の成果に関わらず安定して収益を得られるため、ある意味では優れた仕組みとも言えます。

ところがこのモデルは、欧米では既に縮小しつつあります。ほかのあらゆる業界と同じように、消費者とサービスがデジタルによってダイレクトに結びつくようになってきたのです。特にプラットフォーマーとしてグローバルで圧倒的なシェアを占めるGoogleFacebookは、これまで代理店が担っていた高度な運用や分析を、自動で最適化するプロダクトさえ生み出しています。その結果、広告の制作から運用までをインハウスで手がける企業が急速に増加しました。これらの外部環境の変化・潮流をとらえると同時に、市場や社会に対して自社のパーパスをより意義のあるものへとアップデートしていきたいと考えるようになりました。

私たちの仕事は「御用聞き」であってはならない

自社のパーパスをより意義のあるものへとアップデートしていくにあたり、グローバルで台頭するエージェンシーのモデルも参考になりました。広告のインハウス化が進んでなお、グローバルなエージェンシーの存在感は衰えていません。それは彼らが広告だけではなく、製品の開発やマーチャンダイジング、企業のマーケティング活動の目的に対して、積極的に関与するようになったからです。

つまり、マージンをもらうだけの「御用聞き」的な立場から、4PProductPricePromotionPlace)のすべての過程においてクライアントとともに伴走するパートナーへと、その立ち位置を大きくシフトさせたのです。報酬に関しても、携わったビジネスの成長に応じて利益を配分してもらうレベニューシェアやエクイティ報酬など成果に連動した設計へチャレンジしたいと考えています。

御用聞きからパートナーへ。そのためにマージンによるマネタイズからの脱却。広告主であるクライアントと対等な立場になるために、自らリスクテイクをします。

もちろん欧米に「右へ倣え」だけでなく、国内の市況感もしっかりと見極めなければなりません。特に日本の場合は、Yahoo!JAPAN、LINEなどの国内プラットフォームの存在感も大きく、またCriteoやTwitterをはじめとした、日本で特に影響力が高いメディアも多数存在します。そうした多様な媒体を横断する統合的な広告運用のスキームは、今後も引き続き求められていくでしょう。ただし、それを単に属人的な労働集約サービスとして提供していくのではなく、広告費の無駄やムラを見極め、最適なポートフォリオを提示できるソリューションを打ち出していきたいと考えています。

クライアントとオプトの利益を、イコールで結ぶ仕組みを

広告領域で新たに取り組もうと計画しているのは、コンサルティング支援やオペレーション支援のサービス開発です。広告の運用スキルには、専門的な知識や経験はもちろん、日々アップデートされる市場や媒体の情報を収集し価値を提供し続ける対応力も求められます。そのため完全に内製化することは、代理店に頼む以上にコストがかかってしまうケースが少なくありません。私たちの保有するナレッジや最新の情報を提供して第三者的な立場からコンサルティングし、運用実行力の源泉でもあるオペレーションのサポートをすることで、プロモーションにおけるリスクやコスト効率化の実現を図りたいと考えています。

また、クライアントの意向にもよりますが、事業環境に合わせたFeeのモデルを設計し、クライアントのビジネスの成長に伴って、私たちも利益を得ることができる。そうしたWin-Winの関係を築けたら理想的です。

「要望」ではなく「成長」にコミットを

こうした新たなビジネスモデルに基づく事業が、オプト全体の収益の20%を超える状態にまで持って行くことが、今後3年間での短期的な目標です。とはいえ、数値目標に固執するつもりはありません。目先の数字にとらわれると、どうしても事業全体が縮こまってしまいますからね。それよりも今は5年後、10年後の未来を見据えて、さまざまな「挑戦」をしかけていく時期だと考えています。新しいビジネスの芽を潰すことがないよう、常にチャレンジングな環境を整えていくことが代表としての私の役割です。

だからこそ、オプトがこれから求めるのは、何よりも挑戦を楽しめる人材です。目の前のお客様のオーダーに100%答えるだけでは不十分。そもそも「誰かが答えを持っている」という前提を疑うべきです。「ここまでやれば合格点」と限界を設けずに、常にベターな可能性を模索し続けてほしい。

時にはお客様と意見がぶつかることもあるかもしれません。それでも誰よりも考え抜いた上での結論であれば、パートナーとして毅然とした態度でお客様と向き合う芯の強さも求められます。そういった人こそが、本当のクライアントファーストを実現できるのではないでしょうか。

従来の「広告代理店」の存在意義を問い直す

ここまで私が話してきたことを集約すると、「これからの私たちの役割は、クライアントのマーケティングコストを最小化することだ」と言うこともできます。広告枠のマージンや、広告運用のオペレーションコストを削減し、クライアントが新たな事業にチャレンジできるリソースをしっかりと確保していく。それによってビジネスが成功した暁には、利益の一部を報酬としていただく。

こうしたビジネスモデルは「広告代理店」という枠からはみ出すものなのかもしれません。それどころか、「広告代理店」というビジネスモデル自体を壊そうとしているように映るのかもしれない。けれど、私たちオプトが自分たちの利益を得るために存在するのではなく、クライアントのビジネスを成長させるために存在する企業であり続けるためには、今こそ大きな変革が必要です。

大言壮語と感じる方もいるでしょう。たしかに私たちだけで広告代理の市場を変えることはできないかもしれません。けれど私たちのビジョンに共感してくれる広告代理店や制作会社も少しずつ現れています。彼らを巻き込みながら、オープンイノベーションで業界にインパクトを与えていきたい。広告代理店が本当の意味で、企業や社会の成長を支える存在になるために、私たちはこれからもチャレンジをし続けていきます。

 

 

【参考記事】

▼長年事業の主軸をおいてきた広告業界における構造的な課題と、デジタルホールディングスがデジタルシフト事業を通じて提供する価値についてお話しております(MarkeZine掲載記事)
https://markezine.jp/article/detail/38410

▼住信SBIネット銀行様との取り組み事例
https://digital-holdings.co.jp/news/20220204/1527