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テクノロジー領域の牽引者が描く次世代テック構想に迫る。かつての主力商品を手放し、見据えるデジタルマーケティングの未来。

2021.02.24
株式会社オプト
データテクノロジー部
岩本 智裕 Iwamoto Tomohiro
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大学院卒業後、2012年に大手モバイルサービス企業で新卒エンジニアとしてキャリアをスタート。アプリケーションやソーシャルゲームの製作を経験した後、CPIアドネットワークの開発責任者を務める。教育系スタートアップ企業を経験し、フリーランスを経て、株式会社オプトに2015年入社。Opt Technologiesの立ち上げに参画後、アプリプロモーションの総合支援ツール「Spin App」のPMや、広告効果計測ツール「ADPLAN」の事業責任者を務める。現在はデータテクノロジー部にて「ONE's Data」というCDP事業の立ち上げや企業のデータ環境整備の支援などを行っている。

※本文は取材当時の情報です。

インターネット黎明期から、株式会社オプトの主力商品であり、オプトの急成長を支えた広告効果測定ツール「ADPLAN(アドプラン)」。その事業譲渡と新しい構想への舵きりを決断したのが、データテクノロジー部部長の岩本智裕です。オプトのテクノロジー領域を牽引してきた岩本は、市場の行方を見据え、独自のテック構想を描いてきました。岩本が予期するデジタルマーケティングの未来と、その構想に迫ります。

「ONE's Data」は、デジタルシフトを推進する人がより活躍できるためのコックピット

デジタルホールディングスへ商号変更し、グループ全体が広告代理事業からデジタルシフト事業へ事業の主軸を移したように、オプトもこれからは広告の最適化だけを担うのではなく、デジタルを用いてお取引企業ひいては日本社会全体の成長を促すリーダーシップを担える存在を目指しています。

この目指す方向に沿い、テクノロジー領域をどう成長させていくか検討した結果、まずはこれまで主力商品であった「ADPLAN(※1)」を事業譲渡。そして、お取引企業の顧客一人ひとりの属性や行動データを収集・蓄積・統合するためのデータプラットフォーム「ONE's Data」が誕生しました。

※1 ADPLAN(アドプラン):国内初となるインターネット上の広告効果測定ツール。導入社数累計1,500社を超える実績を持つ。 

今企業側が抱える課題は、アプリ、Web、IoTなどのツールごとにデータが分断されてしまい、顧客の気持ちが分からないということ。そこで「ONE's Data」は、各ツールで取得したデータをつなぎ合わせて分析し、可視化できるようにすることで、こうした課題に応えるのです。

「ONE's Data」は、ご提供する企業にデジタルマーケティング施策の影響範囲が大きいお客様が多かったことから、カスタマイズ性を重視しました。お取引企業は、業種や事業体も異なるため、その顧客データを扱うプラットフォームは個社毎にあるべき姿にフィットさせることが重要です。

そして、個社毎にカスタマイズされたツールを扱える「人」が存在することが、オプトの最大の強みです。「先義後利」を体現する誠実にお客様の課題に向き合うデジタル感度の高い世代の人材がそろっていました。ツールのみの提供ではなく、ツールと分析ができる人材をセットでサービス提供できることで、その利用価値は何倍にもなると考えています。そのため「ONE's Data」はコックピットという概念で、デジタルシフトを推進する人がより活躍できるプラットフォームとして構築しました。

一方で、今後企業のもつ課題がコモディティ化(※2)していき、全企業の共通した課題になりうる可能性を考えています。そうなれば、これまで先進的な取り組みに着手するお取引企業に対し、カスタマイズして提供してきたツール×人で得られたノウハウが、今後お取引が始まるであろうお客様に提供できる、弊社の更なる強みになると考えました。
 

※2 コモディティ化:高付加価値を持っていた商品が、一般商品化してしまうこと。

 

自分の成長を加速させることが、オプトの強さにつながる

私は、エンジニアとしてキャリアをスタートさせました。新卒で就職したのは、業界トップクラスの、大手モバイル企業です。もともと企画するのが好きで、プロダクトマネージャー気質。アプリやソーシャルゲームの制作に携わり、プロダクトマネージャー的な役割も任せられて、仕事はとても楽しかったですね。

働く中で特に関心を持ったのが、「教育」の分野でした。そこで、入社3年目のとき、教育系スタートアップからオファーを受けたのを機に、思い切って転職を決めたのです。しかし、待っていたのはスタートアップの洗礼でした。求められるスピードと品質を兼ね備えたパフォーマンスをあげることができず、自分の実力不足を実感することになったんです。

また、スタートアップの事業と大企業の事業では、世界へ与えるインパクトが違うということも考えるようになりました。私が抱いていたのは、自分のプロダクトをつくりたいというよりも、世の中を良い方向へ動かしたいという想い。既存の事業だったとしても、その事業を大きく転換し、世の中に貢献する方が、できることは大きいのではと思いました。

そこで、一年弱でスタートアップを退社。まずはフリーランスのエンジニアとして働くことにしました。フリーランスとして仕事をする中で出会ったのが、オプトです。これまでの仕事で身に付けた知見を活かし、アプリマーケティングのコンサルティング業務を請け負うことになりました。一緒に働く中で、良い会社だなという印象を持ちましたね。

そして2015年に、オプトの正社員になりました。入社を決めた理由の一つは、裁量を持って働ける環境だったこと。スタートアップで上手くいかなかった経験もあり、そろそろ実績を積まなければと思っていたので、裁量の大きさは気になりました。

当時、オプトはテクノロジー領域で出遅れている印象がありましたが、それにも関わらず、業界ではある程度の順位を維持していました。逆に言うと、テクノロジーの力が強ければ、もっと大きく躍進できる会社だということ。こういう会社なら、実績も積めるし、インパクトも残せると感じましたね。テクノロジー以外が強いという点は、私にとっては魅力でした。
 

広い視野で、テクノロジー領域の構想を描く

入社後は、エンジニア主体の組織「Opt Technologies(オプトテクノロジーズ)」の立ち上げに参画しました。ちょうどオプトがアプリ事業に注力しようとしていた時期で、私はアプリデータのマネジメントツール「Spin App(スピンアップ)」を立ち上げました。

当時は、Web向けのツールが「ADPLAN」、アプリ向けのツールが「Spin App」という住み分けでした。しかし、アプリ単体での事業課題はそれほど大きくなかったのです。私はお客様と関わる中で、やはりWeb、アプリ、オフラインのデータ全てを見る必要があると感じました。そこで、まず「ADPLAN」と「Spin App」を統合するという結論を出したのです。

また「ADPLAN」には「アド(広告)」の意味が含まれていますが、今の時代は広告だけを見据えるのは違うという想いもありました。もっとマーケティング全般を広く視野に入れなければと感じたのです。そうすると、これまでの「ADPLAN」の構想や、既存のお客様のニーズと合わない部分が出てきました。そこで、選択と集中をするためにも、広告に関わる部分については、事業譲渡することにしたのです。その分、社内のメンバーを「ONE's Data」に集め、注力するよう提案しました。

私はこうして、事業オーナーのようにDMP(Data Management Platform)のツールに深く関わってきました。自分が成長することで、オプトのDMPツールはもっと良くなる。自分がレベルを上げていかないと、ツールも廃れてしまう、というくらいの認識でいますね。

スタート時は市場のことは何も分からず、いちエンジニアとして従事していましたが、トライ&エラーを繰り返し、市場の変化を捉えていくうちに、テクノロジー領域で自分なりの構想を描けるようになっていったのです。

構想を描く力に加え、「設計力」も、オプトでプロダクトマネージャーを経験したことで、身に付いた力です。オプトの事業に携わっていると、世の中の情報がたくさん入ってきますが、世の中の変化に対応して、設計する内容も大きく変わってきます。そういう設計力は、開発だけやっていても身に付きません。PL(損益計算書)まで見られるようになって初めて、世の中の状況に合わせて設計する力が付きます。PLも含めた設計力が、今の自分の大きな強みになっていますね。
 

時代を見据え、デジタルマーケティングに幸福な体験を

日本でデジタル化の遅れが指摘される中、オプトには「人」という資産があります。オプトの強みが「人」である根拠は、成長意欲が高く、「誰かのために」という他者志向が強い人が多いこと、且つデジタル感度の高い人材が集まっていることにあります。市場を見渡しても、そういう人が約800人も揃っている状況は他にありません。日本のデジタル化をリードする、ハイパフォーマンスな人材を育てていくために、人の力がより生きるようなデジタルのプラットフォームをつくらなければいけません。

私は、デジタルマーケティングはまだまだ伸びしろのある市場だと感じています。個人情報保護の観点から、ユーザー側がリターゲティングを嫌がるという傾向はあります。一方で、見たい情報に出会えてつい手が止まるなど、徐々にユーザーが見たくなる広告が出てきている現状もあります。

今のデジタルマーケティングの課題は、最適化を追求し過ぎて、偶発的な出会いがなくなってしまっていること。例えば新型コロナウイルス感染症の影響でずっと家にいるとき、本当は偶発的な出会いが欲しいのに、いつも見ているような広告ばかりが流れてきます。こういった面を見ていると、まだ改善の余地がある市場だと感じますね。

もともとSNSなどは自分の情報を発信することで、人と人がつながり、ハッピーになれる市場でした。しかし、ユーザーにとって嬉しくない行為もあったがために、広告ブロックなどが発展するようになりました。

今、さらに世の中が変化して、出会いを求める力が強くなっています。そうした中、デジタルで幸福な体験を生むには、デジタルマーケティングによって、ある程度、偶発性もコントロールすることが求められるのではと思っています。「自分の情報を出した方が幸せになれる。そして安全なんだ」という、居心地のいい世界が追求されていくのではないでしょうか。

今私は、コックピットに人を乗せて、どこかに送り込むような動きばかりしていますが、自分自身も、それに乗って企業を変革していきたいという想いがあります。人を送り込む側でいた方が、レバレッジは効くかもしれません。でも、もともとマネジメントより、自分でやり切る方が得意なタイプ。自分がつくり上げたものに乗って、一つでも「日本かっこいいね」と言われるような分野に飛び込んでいきたいです。

もともと教育に関心があってスタートアップへ行った過去がありますが、今関わっている「人の送り込み」も、「人に関わって、その人が活躍する」ことを目指すもの。その考えは、ずっと持ち続けてきた教育への想いと共通しています。この想いを根底に、自分自身も動きながら、自分の子どもにも伝わるような大きな実績を残していきたいですね。