デジタルシフト事業の中核事業会社をけん引する新規事業の立役者
2004年に株式会社オプト(現:デジタルホールディングス)に入社、営業責任者、メディア責任者を務め、2010年より執行役員に就任、マーケティング事業管掌。2015年4月よりホールディング化に伴いグループ執行役員就任。2020年4月より株式会社デジタルシフト取締役副社長を兼務。
※本文は取材当時の情報です。2024年4月1日より、株式会社デジタルシフトは、株式会社オプトに統合しております。
※本文は取材当時の情報です。2024年4月1日より、株式会社デジタルシフトは、株式会社オプトに統合しております。
デジタルホールディングスグループにおけるデジタルシフト事業の中核を担う株式会社デジタルシフトを設立し、その取締役副社長を務める吉田康祐。これまでも、グループの新規事業を積極的に手掛け、事業拡大をけん引してきました。吉田が考えるデジタルシフト社の意義に迫ります。
中国事業への挑戦から学んだデジタルシフトの重要性
これまでオプトの中でも多様な新規事業開発を手掛け、今回デジタルホールディングスが推進するデジタルシフト事業において、中核を担う事業会社であるデジタルシフト社の立ち上げを担うなど、グループの中でも新規事業の推進役としてキャリアを築いてきたという自負があります。
転機となったのは、グループがホールディング体制への移行を控えた2014年でした。当時、私は広告代理事業の執行役員を務めていて、前年には過去最高益を出し、会社が東証一部への上場も果たすなど大きな達成感を得ていました。
さらなる新しい挑戦をしたいと、当時代表取締役社長だった鉢嶺に「当社が新たな道を切り開いていくうえで、私に2つの選択肢をください。厳しい道を選びます。」と相談したのです。鉢嶺から後日返ってきたのは、ソーシャル事業と中国事業、韓国事業の3つともを任せるというもの。結局選択肢は1つで、3つの事業を主幹するという本当に厳しい道でしたね(笑)。
ただ、特に中国事業に関してはもともと高い関心がありました。私は大学で中国語を学び、9カ月間留学していた経験もありました。長年、中国語を使ったビジネスをしたいと思っていたんです。
もともと中国事業は、広告代理事業をグローバルに展開していく拠点でしたが、私が担当して以後、日本企業の商品を中国で販売する、いわゆる貿易事業をメインにビジネスモデルの転換を図っていきました。
その中で気づかされたのが、中国のデジタル化が想像以上に進んでいるということ。今でこそBATH(Baidu、Alibaba、Tencent、Huawei)などの巨大テック企業の存在が知られていますが、2014年の頃から中国のデジタルシフトは勢いづいていたのです。
実際、コンサルティングの一環で日本を代表するような経営者を中国へお連れしても、デジタル活用の進展具合に感銘を受けられ、その場で日本にいる事業担当者に電話をかける方もいらっしゃるほどでした。
そのような中国でビジネスをすること自体が稀有な経験です。デジタルシフトの知見やノウハウを収集し、うまく日本に還元したいと考え、そのための仕組みとしてベンチャー企業向けのインキュベーションオフィスを現地企業と共同で運営しはじめました。
今でもここを拠点に、中国の経済界やベンチャー企業をネットワークすることで、最新のテクノロジーやソリューションについて、デジタルホールディングスグループが日本企業の架け橋となっています。
こうした経験は、デジタルシフト社を立ち上げる上でも大きなバックグランドになっていますね。
日本企業の生産性向上にデジタルシフトは欠かせない
現在は、2020年4月1日に設立したデジタルシフト社の取締役副社長も兼務しています。デジタルホールディングスグループのデジタルシフト事業において中核的な役割を果たす企業であり、その立ち上げを担った私自身、並々ならぬ思い入れがあります。
まず何より企業が行う事業というのは、世の中に貢献できるものでなくてはならないと考えています。特に日本は課題先進国といわれていて、少子高齢化や労働人口の減少といった大きな課題に直面しているんです。
労働人口に左右されず、これまで以上に経済を発展させていくために企業が取り組むべきは生産性の向上であり、そこにはデジタルの力が欠かせません。2019年に経済産業省が提言した「2025年の崖」という問題は、デジタルシフト、デジタルトランスフォーメーションをしていかないと12兆円規模の経済損失が起きると警告するものでした。
そして、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行で、2025年の壁との距離は予想以上に縮まっています。マイクロソフトのサティア・ナデラ氏は、2年分のデジタル変革が2カ月で起きたと表現しています。ビデオ会議システムの「Zoom」も急速に普及し、ビジネスで利用しない人にとっても身近なものとなりました。
ただ、こうした急速な変化を目の当たりにしても、日本企業の場合、まだまだ、本気でデジタルシフト、デジタルトランスフォーメーションをしなくてはいけないという意識が芽生えだしたフェーズだと思っています。ただ、デジタルシフト社の想いに共感してくれる企業が増えたことは事実です。とにかく本気でデジタルシフトをしていくという決意を持った企業を繋げていくことが、この勢いを止めないために最も大切です。
企業のデジタルシフトに真に伴走できる存在を目指す
デジタルシフト社の支援範囲は幅広く、ヒト、モノ、カネ、情報といった経営資源の至るところで、デジタルシフトに必要なサービスを提供していきます。なぜなら、デジタルシフトの最適なやり方は企業ごとに異なるからです。
デジタルシフトと一言でいっても、企業が保有する情報をアナログからデジタルへ移管するフェーズ、ビジネスプロセスをデジタルで効率化するフェーズ、そしてビジネスモデルそのものをデジタル発想で変革するフェーズと、いくつかに分かれています。それらすべてのフェーズにおいて頼られる存在となる。企業のデジタルシフトに本当の意味で伴走できる企業を目指しています。
本来は特定のソリューションを企業に提案することにフォーカスしたほうが、営業効率は高い。短期的にも収益性が高いでしょう。しかし、それでは企業があまりにも救われません。
企業に伴走するということを考えた時に、私たちはあえて初めに会員サービスを立ち上げました。先に述べた、デジタルシフトに本気の企業に伴走し続けるための仕組みです。私たちのデジタルシフトに対する知見・ノウハウをいち早く広く企業に提供するとともに、デジタルシフトに挑む企業が抱える具体的な悩みを常に吸い上げることで、変革の勢いを加速させていきたいんです。
デジタルシフトは経営者の考えを180度変えるほどのインパクトがある
デジタルシフトは時に、これまでの常識をひっくり返すほどの変化をもたらします。私達の仕事には経営者の考えを180度変える力があるのです。そんな場面に巡り合える仕事は幸せだと思っています。
ただ、その仕事を難しくとらえる必要はありません。20名以上のコンサルタントが在籍していますが、彼らのバックグラウンドは実に様々です。ある人は経理の経験があり、ある人は総務の経験がある。ただ、各々がそれぞれの領域で、実務をデジタル化してきた経験者でもあります。そうした実地経験がお客様からも頼られる強みとなっています。その集合体がデジタルシフト社です。
なので、自分の得意分野が何か1つでもあって、その領域にデジタルを掛け合わせる志向ができる人がデジタルシフト社にとって必要な人材。広範な知識が必要と身構えることはないのです。むしろ、企業の経営者と直接対話し、ビジネスへの影響が大きいデジタルシフトを実現できるというやりがいに共感してくれることこそ重要な素質かもしれません。