ダイバーシティ&インクルージョン推進室を新設 ~無意識バイアスを取り除き、一人ひとりが自由に選択できる仕組みを構築~

2021.03.25

 2021年3月1日、デジタルホールディングス株式会社(以下、「当社グループ」)は、ESG経営(※)の一環として、グループCOO直下に「ダイバーシティ&インクルージョン推進室」(以下、「D&I推進室」)を新設しました。
 本記事では、D&I推進室室長 鎌田友佳より、本組織立ち上げの経緯と想い、そしてD&I推進室の今後の展望等を語るとともに、全8名で構成されるメンバーそれぞれの所信表明、さらには当社グループにとってのD&Iの、ミッションステートメント策定を目的に2021年3月8日に実施した、合同ワークショップの様子をご紹介します。

※ESG経営とは、企業経営において持続可能な事業成長を実現するために、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の3つの要素を重視すること。

目指すのは「ダイバーシティ」という声が聞こえてこない企業体。多様な人材がイノベーションを起こせる環境を整え、競争力を高めていく

「多様な視点を経営に取り入れていくべき」経営層への提言が、D&I推進室設立のきっかけ

 女性は結婚、妊娠、出産などライフイベントのたびに、一度立ち止まって人生や働き方を考えることが男性よりも多いように思います。また一口に「女性」と言っても、例えば生理でも、その症状は人それぞれです。私が営業部門の部長職だった当時、女性メンバーの誰もが少なからずこうした悩みを抱える姿をつぶさに見てきました。仕事への熱意は非常に高く、「もっと頑張りたい」「もっと能力を付けたい」と話す彼女たちに応えようと、私も必死にマネジメントをしてきました。しかし、同じような悩みを持つ社員は何も自分のチームだけではありません。すべての社員に対し、自分ができることはないのだろうか、と自問する日々が長く続きました。
 事態を動かす契機は、社内研修の一環である『次世代経営幹部育成制度』に参加したことでした。「自分が経営者なら、会社の最重要課題として何に取り組むか」という課題を前に、自分にしかできない提案を考えようと思案するなか、『女性活躍推進』というキーワードが頭の中を駆け巡り、いままで抱えていた想いが一気に顕在化したのです。最終的には、このテーマをもとにまとめたレポートを経営層の前で発表する機会に恵まれ、研修終了後には、鉢嶺(代表取締役会長)や金澤(グループ執行役員)と1on1でミーティングも行いました。鉢嶺、金澤は、多様な人材を活躍させビジネスを最大化していきたい、という想いを持っており、そこに直で触れられたことが、自分をまた奮い立たせました。その熱意を会社に汲んでもらえたことが、このたびの組織化につながっています。
 私がもっともこだわったのが、経営者直下の組織とすることです。D&I推進室のミッションを完遂するには、D&Iの推進を経営者自らが重要課題として認識し、経営戦略に掲げることが必要と考えていたからです。これまでも当社グループでは、「女性活躍」「ワーキングマザー」「ダイバーシティ」といった声が幾度となくあがり、そのたびにプロジェクトが発足されましたが、実際の活動は声を挙げた当人に依拠する部分が大きく、全社に至るまでムーブメントを波及させていくことはとても難しいものでした。現場からの声はもちろん大事です。ただ、その声が一方通行のまま消えてしまってはならない――。今回の組織化は、「D&Iを絶対実現する」という私の決意表明でもあります。

いまあるアセットから、はじめの一歩を踏み出す。女性活躍に立脚した施策をスタート

 D&I推進室は、当社グループで働く社員一人ひとりが、異なる価値観を持つダイバーシティ人材であることを前提に、まずは女性に焦点をあてた以下の施策を進めています。

  1. 「育児休業から復帰後の3か月間は原則時短勤務」という従来の規定を見直し、今年4月以降、復帰する社員を対象に、復帰直後からフレックス勤務の選択を可能に
  2. 休業中の情報途絶からくる心理的孤立の防止、復帰に向けた準備を目的とした、情報取得環境の整備。具体的には、産育休中においても社内ポータルサイト等を通じた、福利厚生サイトの閲覧や全社会議の視聴といった選択を可能に。また、産育休中社員同士の交流や経営者からの情報伝達を目的に、任意で参加できるランチ会を実施
  3. 産休前社員、復帰社員に向けた、キャリア面談のプログラム内容をアップデート
  4. 男性社員、マネジメント層に向けた研修をはじめとする啓発活動の実施

 なお、D&I推進室の役割は、女性活躍の後方支援だけではありません。今後、人事部門と連携し、学歴や年齢にとらわれない採用方針を打ち出していくほか、外国籍の方、障がい者の方などにも、いままで以上に当社グループの門戸を叩いていただけるよう積極的な活動を展開する予定です。

賛否両論あって当然。すべてを受け入れ、グループ全社で推進していきたい

 私たちが目指しているのは、「ダイバーシティ」「女性活躍推進」という言葉が聞こえてこない企業体をつくることです。さらには、前述の学歴や年齢などに対する偏見払拭や多様な人材採用は通過点であり、こうした人材も大いに活躍できる社内環境を市場競争力に転換し、当社グループを新しいイノベーションの生まれる組織に変えていくことが大きな目標です。
 現在、金澤を含めた8名のメンバーで、『当社グループにとってのD&I』の輪郭づくりを進めています。しかし、この8名だけがD&Iの推進者ではありません。協力したいと声をあげてくれる人の熱意を受け入れることはもちろん、関心の薄い人の声にも等しく耳を傾けながら社員全員が自分ごと化できる体制を築き、総力戦で取り組んでいきたいと思います。

 

 

D&I推進室メンバー紹介

  
管掌役員 金澤大輔(取締役 グループCOO)

働きがいと経済成長が矛盾しないモデルケースの一つを創る
 人のやりがいや働きがいを追求することで競争力の源泉を作り、グループのミッションと事業目標を達成させていきます。そのため、D&Iこそ『FAT(※)』のスタンスを大切にしたいと考えています。

※FAT
・Fairness(公平性:誰にでも開かれたチャンスがある)
・Accountability(説明責任:過去のしがらみや慣習に流されず、自分たちの言葉で説明できる状態を作る)
・Transparency(透明性:会社も個人も自分の考えや価値観を当たり前に開示できる)


 
石綿純(グループ執行役員 グループCHRO)

選択肢のある社会に貢献する
 個が尊重された、自律・分散・協働型の場にさまざまな人が集う組織を目指し、多様性のなかから新しい価値が生まれるエコシステムを生み出すことが目標です。そして、この考え方が世の中に広く認められるとともに、競争力の源泉になりうるよう推進していくことで、当社グループが将来にわたり社会から必要な企業として求められる状態を目指します。


 
飯高美岐

社員の個性の掛け算からグループの強みを生み出したい
 これまで、本社事業社員、エンジニア、地方支社のメンバーをはじめ、障がいを持つ社員、ワーキングマザー・ファザー、国内外の協力会社スタッフ等、さまざまなバックグラウンドを持つ人と仕事をしてきました。そのなかで、志向や価値観の違いがあるからこそ新たな発展が生まれることを体感してきました。
 D&I推進室メンバーとして、ビジョンに共感して当社グループに集まった社員それぞれの個性を活かしあい、社会に価値を発揮できる企業へと変化を遂げていきたいと思います。


 
近藤彰幸

自分の働き方、選んだキャリアに自信や誇りを持てる環境にしたい
 仕事への向き合い方や時間の使い方が自由に選べなくなることは、誰にでも突然に訪れるものと痛感しています。私自身もまた、ある日生活が一変したひとりです。毎日が想定通りに進まないことに戸惑いながらも環境に順応しようと励んでいるところです。こうした生活を送るなか感じているのは、「答えは一人ひとり違うからこそ、違いを受容する環境と当人に寄り添う存在が不可欠」ということです。
 自らの経験を現在進行形で生かしながら、社員一人ひとりが充実して働ける環境を築くことで、社会的意義のある組織づくりに寄与していきたいと考えています。


 
小野将大

新しい会社や組織の在り方を世の中に問う存在でありたい
 中途採用で入社したとき、それまでの自分が持っていた「当たり前」とデジタルグループが培ってきた「当たり前」の違いを肌で感じました。この違いを“ネガティブなギャップ”ではなく、“私たちの可能性を拡げる価値あるもの”と捉えられるように変えていきたいと強く思っています。
 「仕事」の持つ意味、個人と会社との関係性は急速に多様性を増し、社会の価値観もまた急速な変化を遂げようとしています。私たちは、こうした変化に対する先駆者でありたい。自社の多様性を高め、素晴らしい組織に成長していくことを第一としつつも、我々が描く多様な組織像を世の中に発信し、社会全体に多様性に対する「問い」を数多く生み出すことで、日本全体を誰もが活躍できる社会に変えていく、そんな存在を目指していきます。


 
植田恵子

D&Iが社員一人ひとりに「自分ごと化」されることを目指して
 私は、2度の育休から復帰しています。しかし、復帰後のキャリアは自分が思い描いていたビジョンの線上にあるのかと聞かれると、残念ながらそうとは言えませんでした。「あのとき、こうじゃなければ」と思うことは多々あり、このような状態で会社に貢献できる仕事はできるのだろうか、と考える日は長く続きました。
 後に続く社員には私と同じ経験をしてほしくありません。自分の経験を無駄にしたくないという想いを原動力に、誰もが納得して働き、ハイパフォーマンスを上げられる組織づくりに貢献していきたいです。
 万人に効果のある施策を打ち出すことは難しいと思うものの、「一緒には働く仲間はどう考えているのか」「いま、どんな状況なのか」と、一人ひとりが自分ごと化し、相手を慮ることで相互理解は深まり、各々が力を発揮できる環境が形成されていくのではないでしょうか。そのような集合体を実現できた先には、当社グループらしいD&Iが育まれていくと考えています。真の企業価値を持つグループ会社を目指してまいります。


 
中杉奈津季

時間制約のあるなか働く社員にとって、家庭も成長も"諦めなくていい"環境を作りたい
 私は、育休からの復帰後、時短勤務を選択しました。これは、親族が近距離におらず、夫も多忙を極めていたためです。「子どもを守り、成長をサポートするのは私の役目」と考えてのことでした。それでも、「業務で成果を上げたい」「成長したい」という意欲を失うことなく、時間内で120%の成果を残したいと話す私に、当時の上司は同じ目線で寄り添い、目標を考えてくれました。このことが私に大きな安心を与えてくれたとともに、会社をいっそう好きになれるきっかけにもなりました。
 「家庭も成長も諦めない働き方のモデルケースになりたい」「会社のためにできることがしたい」。この想いを胸に、D&I推進に向け、自分の力を発揮したいと気持ちを新たにしています。

 

【ワークショップ開催レポート】ワーク・ライフバランス社の有識者を招いてD&I推進室メンバーが本気で“多様化”について考える3時間

2021年3月8日、D&I推進室メンバーと有志によるワークショップを開催しました。ワーク・ライフバランス社のコンサルタントの方をゲストにお招きし、ダイバーシティに関する知識を学びながら、それぞれの想いを共有しました。

ワークショップ実施に至った背景には、ダイバーシティ推進室の取り組み自体も多様な考え方に基づく柔軟なものでありたい、という想いがあります。
D&I推進室は自らの意思で参画を決めたメンバーのみで構成されており、それぞれが個人的な動機やバックグラウンドを持った多様なチームです。だからこそ、想いや価値観を互いに理解し認め合うことで、違いがあることを私達の強みに変えていく必要があったのです。

そのような考えから、ワークショップには3つのパートを設けました。

①    相互理解:それぞれが考えるダイバーシティの解釈や取り組む上で大切にしたいことなどをシェアして理解し合う。
②    インプット:ワーク・ライフバランス様による基礎知識やトレンドの学習。
③    ステートメント作成:互いの違いをあるがままに受け止めた上で、チームとしてのステートメントを考える。

相互理解としてまず行ったのは、自身が課題意識を持つきっかけとなったパーソナルな体験の共有です。一口に「ダイバーシティ」と言っても、意味するものや解釈は一人ひとり異なることを実感しながらも、会社や社会をより良くしたいという想いはしっかりと共通していることも確認できました。
ワーク・ライフバランス様による講義では日本が抱える構造的課題や世界的な変化を学び、最後のパート、チームのステートメント作成に取り掛かります。

「私達が思う理想の状態とは?」「取り組む上で私達が大切にすることは?」という問いを立てて対話する過程で、「会社ってこういうものだから…と我慢する人を無くしたい」「個があるがままに居られるためには?」「誰かの犠牲によって成り立つ成功に意味はあるのか?」「D&Iという言葉が要らなくなる世界を実現するためには?」といった新たな問いが次々と生まれました。綺麗な言葉にまとめることよりも、一つひとつの問いについてじっくりと意見を交わすことに時間を割いたからこそ、皆の考えが合わさったステートメントの輪郭が浮かびあがり、着手すべき施策の優先順位がみえてきました。