運用型広告コンサルタント出身のCXデザイナー。だからこそ、提供できる価値がある。


2009年オプト入社。
運用型広告コンサルタントとして大手旅行・通販企業などの広告運用を担当。
運用経験を活かし、ダイレクト領域を中心に多業界のデジタルプロモーション戦略立案・推進を行う。2017年よりマーケティング支援領域へ異動し、データ分析に基づくデジタルマーケティング戦略立案・実行支援を担当。リサーチや購買データ分析に基づくCRMコミュニケーション戦略立案、実行PDCAにおけるプロジェクトマネジメント等を実施。2021年よりCXデザイン部の部長として組織マネジメントにあたる。
顧客体験を表す「Customer Experience(カスタマー・エクスペリエンス、以下CX)」。企業と顧客のありたい姿を描き、データを基軸に企業の本質的な課題解決に取り組む部署が、デジタルシフト社のCX共創事業領域 CXデザイン部です。2009年にオプトに新卒入社し、広告運用の経験を経て、CXデザイン部の部長を務めた横山かよ子。広告運用で培った知見は、現在もベーススキルとして活かされているといいます。運用型広告コンサルタントのバックグラウンドを持つCXデザイナーだからこその強み、そして、その視点が見据える今後の展望とは。
お客様に頼られる先輩の姿をみて、目標の軸ができた新人時代
就職活動時の希望は、ユーザーと企業のコミュニケーションデザインができる広告代理店で働くことでした。早くスキルアップしたいと思っていたので、裁量権を持って活躍できそうな会社を選び、オプトへの入社を決めました。
入社後は、運用型広告のコンサルティング業務に従事しました。慣れない環境でタフに働いていましたが、手を挙げることで、1年目からクライアントの大規模プロジェクトを担当させてもらえたことなど、機会に恵まれていたと思います。周りの先輩方も意欲の高い方が多く、お客様から信頼を得ている様子や、スピーディーな意思決定の流れを隣で見ていて、「心から信頼されていて、困ったことがあれば何でも相談されるビジネスパーソンになりたい」と目指したい軸ができました。
運用型広告コンサルタントとして経験を積むなかで、新規事業の広告案件を連続で担当することがありました。主な依頼は広告配信であったものの、新規事業ということで、ユーザーに訴求するためのさまざまなアプローチが必要でしたし、お客様からも広告の範疇に収まらない相談を数多くいただきました。そのような経験を経て、知識が不足していると感じた私は次なるステージとして、商品の購入を促すだけではなく、ユーザーの能動的な「関与」を生み出す施策に取り組む部署で仕事をしたいと思うようになり、CRM(Customer Relationship Management:顧客との関係性管理)の戦略立案、実行支援をメインに行う部署に異動しました。
運用型広告コンサルタントとして培ってきたデータ分析・施策の考案が強みだと自覚
異動後は、やったことのない領域が想像以上にいくつもあり、インプットを重ねる日々が続きました。なかでも印象的だったのは、ブランドリサーチ業務です。ブランドリサーチは、自社ブランドや商品・サービスのユーザーと目線を合わせるための大切な調査。初めてブランドリサーチ業務を任されたときに、とてもワクワクしたことを覚えています。「ユーザーの声にこそ、ブランドが愛される理由が隠されている」。そんな想いで、過去資料を漁りながら、試行錯誤を重ねました。社内でまだ手法が確立されていないなかで、過去資料にあったクライアント用アウトプットを参考にしながら、ユーザーアンケートの問いを考え、分析をし、提案を行いました。その結果、クライアントの成果に繋がり、新しい事例であったためか社内からもポジティブな反応がありました。「未経験でも想いをもって徹底的に臨めば何とかなる!」という自信になりましたし、イメージ調査を反映させたユーザーとのコミュニケーション設計の大切さを再認識しました。
業務が多岐に渡るなかで、自分のスキルをどう発揮していったらいいのかという迷いは抱えつつ、運用型広告コンサルタント時代に抱えていた課題は解消されました。部署自体が新しい事例を作ろうとしていた探索フェーズだったこともあり、何でも挑戦させてもらえたことも大きかったです。クライアントの課題解決に必要であれば何にでもチャレンジできる環境で、クライアントの事業成長の一歩となる施策を存分に考えられました。
そのなかで、顧客データから分析し、数値結果から仮説を出して施策を回していくことは、私の強みだと認識するようになりました。

お客様の本質的な価値を考え抜くメンバーと共にCXデザインを追求
2021年にオプト社の組織再編により、デジタルシフト社のCXデザイン部に異動になりました。前の部署と大きく業務内容は変わらず、企業と顧客のありたい姿を描き、企業の本質的な課題に向き合い、データを基軸に解決することがCXデザイン部のメインミッションです。
組織再編のタイミングで働く仲間も増えたのですが、メンバーのバックグラウンドはさまざま。私と同じで、運用型広告コンサルティングを経験している方も多かったのですが、広告とCXデザインの親和性は非常に高く、マーケティングを考える上でのベーススキルになると確信したことがありました。
新規ユーザーを導き、商品やサービスを知るきっかけになるのが広告で、その後の対応はCRMでしっかりとコミュニケーションをとっていくことが重要になりますが、企業によっては両者が乖離している組織も非常に多いです。一貫性を持ったコミュニケーション設計ができると、こうした訴求の広告に興味を惹かれた方だから、その後に必要となる情報やサービスはこうしたい、などと考えられるようになります。結果、ビジネスチャンスも見つけやすくなりますし、一人ひとりに合わせた対応が可能になり、より上質な顧客体験の提供ができるようになります。
CRMのみを扱っている人が広告にまで頭を回すのは難しいので、広告運用の経験があることはしっかりと強みになるんですよね。
昨年の2022年にいくつかのクライアントへヒアリングを行ったところ、CXデザイン部に対してお客様から「なんでも相談できるパートナーとして捉えている」との回答を多くいただきました。お客様に対しての一時的な課題解決ではなく、本質的な価値を考えているメンバーが多く、コンサルティングできているのが良い点なのだと思います。
部長に就くタイミングで、学びを深めるべく大学院へ
新卒入社してから10年以上が経ち、外に出なければならないという意識が強まりました。そこで、2021年8月から至善館大学院で学ぶことにしたんです。部門長職を打診されたタイミングだったこともあり、自分自身も改めて学んでいかなければという思いが強まっての決断でもありました。大学院という場を選んだのは、ある程度の強制力があるためです。1人で学び続けるのはなかなか難しいものですし、社外にコミュニティを作れることも魅力的でした。
他の会社の方が同級生となる環境も刺激的ですし、宗教学や哲学など、直接仕事には関係のない教養も面白い。英語クラスとの交流もあり、文化圏が違う方とのコミュニケーションを通じて、当たり前の概念が良い意味で破壊されて、そういった人たちとの交流も自分の価値観に良い影響を与えてくれていると思います。
小さな一歩として、今は卒業課題として事業構想を練っているところです。デジタルグループのCxOの方々からフィードバックをいただくこともあります。
大学院での学びを通して気づいたことがあります。自分がグローバルで見るとどれだけ経済的に恵まれていているか、です。私を含め日本人の多くは上位数%に位置していると言います。
世界レベルで見ると、実は日本人の多くが上位層に位置しているのでしょう。そんな自覚はありませんでしたが、世界の上位クラスにいるのであれば、もっと頑張ってより豊かな社会にしなければならない責任があるはず。困っている人を助けたい、と大きな視点での社会貢献をしていきたいなと考えるようになったんです。事業構想を考える上でも、こういった気づきや価値観は大切にしていきたいと思っています。
チームメンバーが飛躍できるジャンプ台の役目を果たしたい
CXデザイン部のメンバー数が増え、一人ひとりがお客様のプロジェクトを任せていただける状態になっていること、継続依頼に繋がっていることは非常にありがたいことだと思っています。2022年はCX BASEというCDP*を早く安く作れるパッケージをリリースしたのですが、おかげさまで引き合いが増えている状況で、データを活用したCXの向上に関心を持たれている企業様が増えてきているのを肌で感じます。
一方で、属人化している状況の打破が組織としての課題です。競合も含めて業界的に人材不足のなか、再現性を持たせて多くのクライアントにサービスを提供していくためにはどうしたらいいのかを考えていく必要があると思っています。
部長になってから直接お客様とやり取りする機会は減りましたが、自分自身が個人として価値提供するよりもメンバーがいかに活躍できるか、提供価値を最大化できるかを考えることにモチベーションを感じています。
そして、メンバーと私は対等な関係だと考えています。メンバーの考えていることを聞きたいですし、何かをお願いするときには背景を伝え、方法は任せるようにしています。私が思いつく方法は本当に限られていると思っているんです。目指したいゴールだけ共有した上で、あとは任せたほうがいい案が出てくるんじゃないかなと思って。
経営に携わりたいという意思を反映してもらえ、今期から経営企画にも携わることが決まりました。願いを汲んでもらった以上、成果を出せるようがんばりたいですね。デジタルホールディングスグループが取り組んでいるサステナビリティ経営に関しても力を入れていきたいです。どのようなストーリーのなかでどういう事業があるのかを理解できていないと、何か社会で大きな問題が起きたときに、自分の仕事に疑問符が浮かんでしまうと思うんです。社会貢献に繋がるものを考えたいですし、今やっている事業の文脈を整理し、社員の皆さんに伝えていきたいと思っています。
*CDP (Customer Data Platform):顧客一人一人のデータを収集し、管理し、分析するデータプラットフォームのこと。性別や、年齢といった属性データにとどまらず、サイトやアプリ上でどのような行動をとったのかをデータ化した行動データに及ぶ。
