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社会全体のAIリテラシーを向上させるために。手がけるのは、誰もがAI人材へと成長できる学びの場。

2021.04.13
丹羽 悠斗 Niwa Yuto
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北陸先端科学技術大学院大学博士前期課程修了。2015年、株式会社オプトホールディングのAI研究開発部門「データサイエンスラボ」に入社。同部署にて、主にコンペティション形式でAI開発を行うサービス(現SIGNATE Competition)の開発に従事。18年4月、データサイエンスラボの事業統合を機にSIGNATEに参画。19年4月より現職。修士(知識科学)。

株式会社SIGNATEが展開する、国内最大45,000名(2021年4月1日時点)のAI/データ分析人材が登録するデータサイエンスプラットフォーム『SIGNATE』。そのなかでユーザーの学習支援を担う『SIGNATE Quest』の開発・運用を統括するのが同社のプロダクトマネージャー、丹羽悠斗だ。徹底してユーザーファーストにこだわった学習コンテンツを提供し続けることで、彼はどんな社会を実現したいと考えているのだろう。

教育、実績づくり、採用を一手に担うプラットフォーム

社会全体がデジタルシフトに向けて大きく舵を切るなか、いま、多くの企業は優れたスキルを持ったAI/データ分析人材を求めています。一方で、AIやデータサイエンスを学ぶ意欲はあるものの「何から始めればいいのかわからない」と悩んでいる方も少なくありません。そうした企業と個人のニーズを満たし、AIによる社会変革を推し進めるために生まれたのがAI/データ分析人材をエンパワーするプラットフォーム『SIGNATE』です。

『SIGNATE』では主に3つのサービスを提供しています。

まずはAI/データ分析人材のスキルアップを支援するオンライン講座プログラム『SIGNATE Quest』。動画やスライドによる解説と演習問題を繰り返すことで、まったくの未経験からのスタートでも、1年あれば十分にAI開発やデータ分析を担える人材へと成長できます。

次に、自身のAI/データ分析スキルの実力を証明するための場として設けられた『SIGNATE Competition』。実社会のAI/データ分析課題に即した開発コンペに参加することで、自らのスキルを可視化・証明できます。

そして最後に、スカウト転職サービスとしてユーザーのキャリアアップを支援する『SIGNATE Delta』。コンペ実績や講座受講成績に基づいて、相性の良い企業や行政機関と人材をマッチングしていきます。求職者のスキルが一目瞭然になるため、企業の採用担当者からも非常に好評です。

このようにAI/データ分析人材の育成から採用までをワンストップで支援できることがSIGNATEの最大の強みです。

ユーザーファーストで、より質の高い学びを

私自身はプロダクトマネージャーとして、主に『SIGNATE Quest』の開発・運用をマネジメントしています。そのなかで第一に心がけているのは、言うまでもなく学習サービスとしての質の高さです。データの前処理から、分析、AIの開発、運用の各プロセスを、実践的なレベルで身につける講座を提供することにこだわりを持ってサービス提供をしています。

幸いなことに私たちにはプラットフォーム事業を手がける以前から、AI開発やデータ分析を受託するなかで培ってきた実践的なノウハウがあります。各講座には、それを余すところなく詰め込みました。システム面では、実際に私たちが様々な競合サービスを利用し、使いやすい部分・使いづらい部分を洗い出し、ユーザーが学習しやすいシステムを仮説立て製作してきました。

SIGNATE Questの講座は、要所要所で動画やスライドでの座学による学習を挟み込み、概要をきちんと理解した上で、実際に穴埋め形式で演習問題を解きながら学習を進めていくスタイルです。動画やスライドによる解説があることで挫折することなくスムーズに学びを深めていけますし、しっかりと手を動かすからこそ、動画だけのe-ラーニングにありがちな「視聴しただけで勉強した気になってしまう」ということもありません。

ユーザーが学習を円滑に進められる様にするためUX(ユーザーエクスペリエンス)の向上にも注力してきました。この手のサービスは、私たち運営側の都合で開発を進めていくと、「気がついたらユーザーにとって、非常に使いづらいものになっていた」というケースが多々あります。それだけはどうしても避けたかったため、私たちがターゲットとしているユーザーがストレスなく使えるサービスになっているかどうか、ユーザーファーストの視点で常にチェックを欠かしません。競合サービスの分析は定期的に行い、良い部分はなるべく取り入れてきました。出来上がったシステムは、私を含め開発チームのメンバーにも利用してもらい、使いづらい部分があれば改修を重ねてきました。この他にも、ユーザーから上がってきた要望も可能な限り即時に対応しています。こういった努力の甲斐もあって最近ではシステムに関するユーザーからの要望も徐々に少なくなってきています。リリースしてからのこの1年間は、目に見える顕在的な不満点を解消することに注力してきましたが、今後は、より洗練されたUXをめざして潜在的な不満を解消していくフェーズになってきていると考えています。そのために、これまでに蓄積したユーザーの行動ログデータの分析やABテストに基づいて、さらにUXを細部まで磨き込んでいくつもりです。

原点にあるのは「自分自身がかつて抱いた不満感」

ユーザーファーストにこだわるのは、私自身がプログラミングを学ぶなかで使いやすい学習教材に恵まれず、苦労した経験があるからかもしれません。私がIT技術に始めて「触れた」といえるのは高校生のときです。サーバーを自作している友人の手伝いをしたことがきっかけでした。もっともそのときはサーバールームに筐体を運び込んだり配線したりなど、物理的な手伝いがほとんどでした。

本格的にプログラミングを学ぶようになったのは、大学で情報系の学部に進学してから。最初にC言語を覚えることになったのですが、実はC言語って一番ベーシックでありながら、初心者には非常にとっつきにくい言語なんです。だから随分苦労しましたね。当時は学習教材もほとんどなく、ネットに落ちているコードをコピペしては動かしてみての繰り返しでした。

この時厄介だったのは、「情報の正しさと鮮度」でした。コピペ元のコードがそもそも正しく動作するかがまったくわからず、コードを読んでみて動きそうだと思い、自分の環境で動作させてみると、情報が古すぎて動かないといったこともありました。時間をかけてヒントになるコードを探しあてたのに、コピペしてみてもエラーが吐き出されてしまい途方に暮れる。初学者の時はそんなことが日常茶飯事でした。

その点、現在のe-ラーニングは常に最新の正しい情報が当たり前のように手に入れられます。『SIGNATE Quest』の場合、入力したコードが正しく動作するのかどうか、動かないのならどこに問題があるのかをブラウザ上で即座に確認できます。「こんなに便利なものが、私が学んでいた頃にあれば…」、ときどき羨ましくなりますね。そういう意味では「初学者だった頃の自分が抱いていた不満感」が、ユーザビリティを向上させるためのひとつの基準になっているのかもしれません。

「エキスパート」も「ジェネラリスト」も育てていきたい

今後は、AI開発のスタート地点となる「要件定義」を学ぶためのコンテンツを用意していかなければなりません。現時点では、要件定義“後”のプロジェクトを推進する人材は育てられても、AIを活用したサービスをゼロから立ち上げる人材を育てていくのは難しいのが実情です。SIGNATEが本当の意味でAIによる社会変革を実現するプラットフォームになるためには、この領域をいかにカバーしていくかが極めて重要になります。

プロジェクトの要件定義を担うのは必ずしもAI/データ分析の専門家である必要はありません。むしろ経営者などがAIリテラシーを高めていく方が、AIをビジネスに活用していくという観点では近道でしょう。実際に法人として『SIGNATE Quest』を利用されている方のなかには、営業部門の方などが少なくありません。

そうしたAIリテラシーを備えた総合職が「ジェネラリスト」としてプロジェクトをリードしながら、AI/データ分析の領域でより高い専門性を有した「エキスパート」がパワフルに実装を進めていく。そんな風に、これからのAI/データ分析人材は二分化していくはずです。もちろん私たちSIGNATEは、その両方をしっかりと輩出できるプラットフォームであり続けたいと考えています。

いずれにしても、デジタルシフトをさらに加速させていくためにはAIの活用が急務です。だからこそ、より多くの人に『SIGNATE Quest』を利用していただき、社会全体のAIリテラシーを着実に高めていきたい。それは人間が人間にしかできないクリエイティブな仕事に取り組む環境づくりにもつながっていくはずです。『SIGNATE Quest』のみならず、プラットフォームとしての『SIGNATE』をさらに使いやすく、さらに質の高い学びを提供できる場として成長させていくことが、これからも変わらない私の仕事です。